天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

ロングトレイルを歩いたので装備・持ち物をまとめました。【大峯奥駈道~熊野古道中辺路】

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大峯奥駈道で背負ったバックパックとサコッシュ、トレッキングポール

 

ロングトレイルの装備・持ち物の紹介

2019年のゴールデンウィークは、以前から憧れていた大峯奥駈道と熊野古道中辺路を歩きました。奈良県の吉野を出発し、奥深き紀伊山地を駆け抜け、和歌山県の那智の海までの約130kmをテント泊縦走する旅です。

今回は、その旅で使用した装備・持ち物を紹介したいと思います。

 

「ロングトレイル」を歩くときの装備・持ち物は基本的に、「登山のテント泊縦走」とほぼ同じではないかと思いますが、私には本格的な縦走の経験がありません。(例えば北アルプスのような。この年の夏に北アルプスを縦走しました!) 

そこで今回は、国内外のロングトレイルやバックパッキングの経験をもとに装備・持ち物を決めました。

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四国遍路と南米トレッキングの装備

 

ウルトラライトな装備を意識しつつ、使わないものは絶対に持たないつもりで選択しましたが、終わってみると使わなかったものもあるので、そのあたりも参考にして頂ければ幸いです。

 

 

ロングトレイルの持ち物・装備(大峯奥駈道&中辺路編)

持ち物・装備が適切であったかを決める一番の要因となるのは気温です。

今年のゴールデンウィークの奈良県から和歌山県にかけての都市部の気温は半袖で過ごせるぐらいでした。しかし、トレイルは2000m弱の山を貫いているので、都市部とは違う服装が必要になります。

装備を決めるにあたっては、過去のブログと過去の気温を判断材料にしました。過去の気温とそのときの服装を参考に、今年の気温と比較したのです。そして、「今年はかなり寒くなる」との予想を立て、秋から冬にかけての装備に近いものを揃えました。

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ロングトレイルの全装備

画像はザック以外の持ち物を集めたものです。

 

全装備リスト

ロングトレイル装備リスト表

 

身につけている物の重量は、約12.7kg。そこに、食料と水を足すと約21.3kgの総重量になりました。

水はおよそ3L持つことが多く、食料も日に日に少なくなるため、およそ18kg程度を背負っていたのかなと思います。

 

基本になる必需品の選び方

長距離を歩くロングトレイルで必要になるアイテムは基本的に登山用のものと同じです。

 

バックパック『グレゴリー/トリコニ60』

バックパックは60Lを選択。マットを中に収納する場合は、70~80L程度が必要になります。

 

シューズ『モントレイル/カルドラド アウトドライ』

靴は履き慣れている登山靴がベストだと思います。

でも、私は以前からトレランシューズを履いています。キャンプに行くときも、カヌーに行くときも、山登りも、いつもトレランシューズです。20kg程度を持つ場合は登山靴が必要と言われますが……。あまり必要性を感じないのと、値段が高すぎて躊躇しています。

トレランシューズのいい所は、足さばきが良いことと、足裏感覚があることです。

 

『大峯奥駈道~中辺路』の旅で役立った道具

『大峯奥駈道~中辺路』のロングトレイルで、役立った道具を紹介します。

 

ウルトラライトなテント『ビッグアグネス/フライクリークUL1EX』

大峯奥駈道には小屋があります。しかし、なかには、数人がやっと泊まれるような避難小屋も存在します。例えば、今回のようにゴールデンウィークに歩くとなると、人が増えますので、午後の早いうちには満杯ということにもなりかねません。

そこで、小屋を当てにせずに、テントを持つのがおすすめです。テントがあれば、どこにでも泊まれるという安心感も生まれます。

私のテントは、ビッグアグネスのフライクリークUL1EXのノーメッシュです。約1kgのダブルウォールテントは、荷物の軽量化に役立っています。

 

 

コンパクトな浄水器『ソーヤー マイクロスクィーズフィルター SP2129』

途中の水場の水は、すべて浄水しました。

動物が多いところですので、万が一、糞や死骸などで水が汚染されている場合に備えて浄水しました。

以前使っていた浄水器も良かったのですが、今回の『ソーヤー マイクロスクィーズフィルター SP2129』も使いやすかったので、いずれ記事にしたいと思います。  

 

『新宮山彦ぐるーぷ』の地図

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新宮山彦ぐるーぷの地図

大峯奥駈道を歩くためのメインの地図としては、『山と高原地図 大峰山脈』を使用しました。

それとは別に、『新宮山彦ぐるーぷ』という団体が公開している地図を印刷して持ちました。こちらの地図には、地元ならではの情報が豊富に載っていて非常に助かりました。 フェイスブックのページから見られるようです。

 

ロングトレイルで便利な持ち物・装備

ロングトレイルを歩く際に無くてもいいけど、あると便利な持ち物・装備をいくつか紹介します。

 

ピロー『シートゥサミット エアロプレミアムピロー』

まくらです。ピローと言ってみたかっただけで、まくらです。はじめは「ピローなんてウルトラライトじゃない」と思っていたけど、なかなかどうして、あると快適なもので歩き疲れた夕時に横になると溶けました。  

 

ソーラー付のランタン『ソーラーパフ』

ソーラー発電するランタンです。同じものをバックパックにつけている人を一人見かけました。ヘッドライトの予備電池を持つならソーラーランタンを持つという選択肢も良いと思います。とにかく、電池の残量を気にすることなく点けていられるのがミソ。災害時にも役に立つ便利なヤツです。

ソーラー関係では、折り畳み式ソーラーチャージャーをバックパックにぶら下げている人もいました。  

 

今回の旅で使わなかったモノたち

次はいらないかも 

アームウォーマー、マスク、コンタクトレンズ、ブロア、セーム皮、予備電池(ヘッドライト用)、予備SDカード、クリーム(日焼け後)、味噌汁

 

使わなかったけど必要な持ち物

ファーストエイド、ホイッスル、温度計付きコンパス

 

こうしてみると、必要な道具は厳選されてきました。あとは、いままで必要だと思っていたものを削る作業か、より軽い物への買い替えになってきます。

 

ロングトレイルの服装

服は気温に合わせればいいので、それほど迷うことはありません。

今回はあまりに荷物が重く、気温が読めなかったのでかなり迷いました。

 

それよりも問題なのは、帰りの服を持つか否かです。持てば安心だけど、それと引き換えに最終日まで重しとなり、日々私の体をむしばんでいきます。

結局、替えの服は3組もちました。

  • 「大峯奥駈道の予備」
  • 「中辺路からは観光客に配慮して」
  • 「電車に長時間乗るので帰りの服」

です。

 

ロングトレイルの食料計画

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ロングトレイル5泊6日分の食料

朝食

朝食はラーメン+魚肉ソーセージ1本のみ。すばやく出発するには、火を使わないのがベストですが、適当な食事が思いつかなかったのでこれにしました。

 

行動食(昼食)

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1日分ごとに袋分けした行動食

一日の行動食は縦の一列分+飴です。カロリーメイト的なものとトレイルミックスを中心に、あとはおやつを用意。

足りないかなと思いましたが、意外と余ることが多かったです。

 

夕食

フリーズドライを食べます。基本、丼ものです。サンマのやつは、缶詰がレトルトになった感じですが、いまいち。イオン系トップバリュの牛丼が美味しかったです。味噌汁も持って行きましたが、鍋が一つのために面倒になって1度しか食べませんでした。

食後は行動食のところに写っているスティックコーヒーを1食分。嗜好品は重要です。一日の終わりにコーヒーを飲むと緊張が抜けました。

 

調理道具・燃料

コッフェルはチタンクッカー一つです。

重量に関わってくるガスは、万が一を考えて250缶を用意しました。

3食の食事とコーヒー一杯分の水を沸かしました。7日半で1/3程度余りました。

 

水の補給について

大峯奥駈道、中辺路ともに水の補給場所は少ないです。水場については、新宮山彦ぐるーぷの地図が詳しいです。水の補給についてはコチラの記事もご覧ください。

 

 

ロングトレイルのコスト

ロングトレイルを歩ている間は、当たり前ですがお金を使う場所はありませんでした。玉置神社では何か食べられるみたいでしたが、私は無補給なので確認しませんでした。自動販売機はあります。

 

結局、お金を使うのは、「食料」と「行きと帰りの交通費」だけでした。

 

ロングトレイルの装備・持ち物まとめ

大峯奥駈道を歩いたあとは、神戸にある約56kmのロングトレイル『六甲全山縦走路』を歩きました。

今後も装備・持ち物は厳選されていくと思いますので、このページで更新していきたいと思います。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

 

2泊3日の装備・持ち物をまとめました(追記)

こちらの記事では、比良比叡トレイルを歩いたときの装備をまとめました。

 

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お時間がありましたら、旅の様子もご覧ください!

初夏だけど、雪山で有名な『高見山』と『三峰山』に登る【日本三百名山】

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高見山でリハビリ登山【日本三百名山】

高見山の登山道

よく手入れされた高見山の登山道

5月の晴れた休日。午前8時にたかすみの里(たかすみ温泉)の駐車場をスタート。

すぐに杉のいい匂いに包まれます。花粉が終わると、いい匂いに代わるのです。

 

 

高見山(たかみさん/標高1284m)は、奈良県と三重県にまたがる山だ。冬は霧氷が見れることで有名で、その形から「関西のマッターホルン」とも呼ばれる。

 

 

実は、先週のロングトレイル130kmの旅で膝を痛めました。それから一週間経つものの膝の調子は良くなくて、膝を床につくだけで痛みがある状態です。このまま治らないんじゃないかという不安が……。いまさらだけど、大峯奥駈道を終えた時点で歩くのをやめるべきではなかったのかと思ったりもします。

 

でも、高見山の登山道は良く整備されていて登りやすくて快適でした。雪山で有名な理由のひとつは、この歩きやすい登山道にあるのかもしれません。

 

高見山の巨大な高見杉

高見杉

 

巨大な杉を目の前にするとちょっと怖い。

昔の人は現代の人よりも敏感で、自然の生命力をビリビリと感じていて畏怖したのではないでしょうか。

 

高見山の稜線

 

頂上までは展望はほとんどないけど、風通しが良くて気持ちがいい山です。 

何度か沢を渡り、谷筋の尾根を上っていきます。 杉の林がマツに変わり、広葉樹の森に変わります。

 

高見山山頂からの眺望

山頂は360度のパノラマ。

大峯の山々が見えました。まだ一週間しか経っていないのに、少し心がうずきます。

 

高見山日帰り登山の記録

日付/5月12日

行程/たかすみの里からピストン

天候/晴れ

移動距離・所要時間/8:00~13:35

 

三峰山 日帰り登山【日本三百名山】

杉のはげ山

はげ山が寂しい

登山口まで歩く途中にあったはげ山。印象的でしたので……。

 

 

三峰山(みうねやま/標高1235m)は、奈良県と三重県にまたがる日本三百名山だ。高見山と同じく冬は霧氷が見られる山。

 

 

不動滝コース

みつえ青少年旅行村の駐車場を出発。

沢沿いの舗装路を不動滝まで歩きます。川は護岸されているものの、水は綺麗です。

不動滝に到着。冬は凍ったりするのでしょうか。

 

三峰山の不動滝

新緑の不動滝

 

滝からはひたすら杉林を上ります。

一般的な杉林の登山道を思い浮かべてもらえばいいです。階段は多いけど、フワフワとした杉の葉の上を歩くので脚の負担は軽いです。

上りは長いけど、ほとんど疲れることなく稜線に出ました。

 

稜線に出たら数百メートル水平移動するとあっという間に頂上です。

ずっと杉林を登るので、寒い冬は風を遮られるからいいのかもしれません。

 

頂上の眺めは限定的で、木々の隙間から眺めるといった感じ。

帰りもひたすら杉林を下りました。

 

三峰山の稜線

 

三峰山日帰り登山の記録

日付/6月2日

行程/不動滝コース~新道コース

天候/くもり

移動距離・所要時間/8:00~12:00(アプリはゴールボタン押し忘れ)

三峰山のコースタイム記録

 

低山の登山

調べてみると関西近郊で登れる雪山というのはたくさんあるみたいです。

そのうちの2つの低山に登ったわけですが、もし最初に登りに行くなら高見山かなと思いました。

 

それにしても、どこにいっても低山は杉林の植林ばかりで憂鬱になってきました。

低山ばかりを歩いているので、杉林の写真展が開けるほど杉の写真ばかりを撮っている気がします。(しかも、どこで撮ったのか判別できない)

 

本格的に登山をはじめて間もないので、これまでは日本百名山や日本二百名山、三百名山を基準に登ってきましたが、植生の変わる「標高」をもうひとつの基準にするといいかもしれないと思いました。 

旅の終わり、海へ。『熊野古道中辺路』1泊2日テント泊縦走(8日目)

蟻の熊野詣

バックパックを背負って130キロを歩く旅も最終日だ。

快晴。

テントをたたみ、5時半に出発した。

すでに難所は越えているから、あとは那智の海へと下るのみのはずだ。

 

まもなく、熊野那智大社に到着した。

 

熊野那智大社

 

さすがにゴールデンウィークの有名な観光地だけあって、「蟻の熊野詣」のような人出だった。

実は、日本人の観光の起源は、熊野詣やお伊勢参りにあるという。今も昔も、人々は何かを求めて熊野にやってくるのかもしれない。

 

那智の滝

 

観光客に交ざって階段を下り、那智の滝が見られる飛瀧神社へと向かう。那智の滝は133mの落差を誇る日本一の滝だ。滝つぼの深さは10m、水量は毎秒1トン。何度か訪れているが、いつも印象が変わらない荘厳な滝だ。

 

そして石段を登り返し、熊野三山のひとつ熊野那智大社をお参りする。境内を通り抜けると、すぐ隣には青岸渡寺があった。

神社と寺院が隣接して建つこの空間は不思議だ。まるで「どこでもドア」を通り抜けたみたいな違和感がある。でも、これこそが神仏習合時代の名残りなのだそうだ。

 

お参りのあとは、杉の巨木の間を通り抜ける「長~い」石畳で知られた大門坂を下った。

そして、舗装路に出てからは、夏のような日差しが容赦なく照り返す道を、海へ向かって歩き続ける。

この旅は最後まで「修行」が続くのだ。

 

那智駅に到着

そして、突然終わりがやってきた。

那智駅に到着した。

 

大峯奥駈道で何度か見かけた若者が、駅のベンチに座っていた。彼も同じように熊野本宮大社に到着したあとは中辺路を歩いてきたのだろう。親御さんとは熊野で別れて、ひとりで歩いてきたようだった。彼はスゴイ速さで歩くので覚えていた。

 

彼はいま何を思うのだろうか。

この道を歩き終えて、何を感じているのだろうか。

 

私も駅のベンチに座って休みたいが、まずはゴールの海へたどり着かねばならない。そのまま線路をくぐり、海へと向かった。

 

暗い階段を登ると、空が開け、そこに目指してきた那智の海があった。

海はパステル調の淡い青色をしていた。バックパックを背負ったまま、白い砂浜を一直線に歩いていく。砂が跳ね上がって、足首にさらさらとかかる。

そして、波打ち際に立った。

 

「ついた」

 

太平洋。

 

紀伊半島のど真ん中から、歩いてきた。

 

気付いたら、しばらくの間「波打ち際で、地平線を見つめてたそがれているバックパッカーのオッサン」になっていた。

頭を垂れて、足元に打ち寄せる波を見る。キラキラと、波が寄せては返していく。水が靴を洗って、砂が流れていく。

 

私はいま何を思う。

 

那智の海

 

波は、ザザー、ザザーと何度も繰り返したけれど、心の中に浮かんでくる言葉はなかった。 

ただただ、厳しかった。厳しい旅だったと思う。

 

次の旅へ

那智駅とバックパック

 

駅に戻り、道の駅で買った地元の鮨を食べ、自動販売機でアイスを買う。

それから、駅に隣接している温泉に入った。

風呂の鏡を見て、肩と腰骨付近に赤いあざがあることに気付いた。膝もそうだが、最後まで体がもってくれてよかった。

 

新しい服に着替え、同じく、敷地内にある『熊野那智世界遺産情報センター』を見学した。

「祈りをもって、熊野を目指し、何日もかけて旅をしたのです」

いにしえの旅人の様子を描いた展示に、しんみりとさせられた。

 (2019年5月4日)

 

熊野古道中辺路1泊2日テント泊縦走(8日目)の記録

行程/5:40地蔵茶屋跡~熊野那智大社~12:00那智駅

天候/晴れ