ULハイカーのアイコン的ギアといえばトレッキングポールテントではないでしょうか。
ワンポールあるいはツーポールで立ち上がったシルエットは独特で、丸くてカラフルなドーム型テントとは対照的です。ULギアが広く浸透した現在でも、「かっこいい~」とつい目を留めてしまいます。
そんなトレッキングポールテントを作っているのは、米国を中心としたULブランドです。何千マイルを歩いてきた百戦錬磨のハイカーがその経験を活かし、自らがより遠くどこまでも歩くために、不要なものを削り、最先端の素材を使用し、自由で斬新な発想で尖った商品を世に送り出しています。
僕がULギアに惹かれるのはそのスタイルだけでなく、そうしたギアを作る人たちへの憧れがあるからかもしれません。
今回は、そんなULブランドが作った超軽量(1kg以下)のトレッキングポールテントを20張紹介します。
- トレッキングポールテントの条件
- 「フロアあり」で「1kg以内」のトレッキングポールテント20選
- Zpacks / Plex Solo Tent 395g
- Tarptent / ProTrail Li 453 g
- Hyperlite Mountain Gear / MID 1 476g
- Tarptent / AEON Li 478 g
- DURSTON / X-Mid Pro 1 499g
- Gossamer Gear / The One 503g
- Zpacks / Duplex Tent 525g
- Tarptent / NOTCH Li 558g
- Gossamer Gear / The Two 667g
- Hyperlite Mountain Gear / UNBOUND 2P 680g
- 3F UL GEAR / Lanshan 1 Pro 690g
- Six Moon Designs / Lunar Solo 740 g
- Mountain Laurel Designs / SOLOMID XL 764g
- LOCUS GEAR / Khufu Tyvek 790g
- Six Moon Designs / Haven Ultralight Tent 963g
- まとめ ULポールテントを手に入れるには?
トレッキングポールテントの条件
トレッキングポールテントを選ぶときに決めなければいけないのは、フロアがあるかどうかです。
「フロアなし」は、当然、足下は地面です。雨が降ればぐちょぐちょ。地面とのすき間があるため、虫や動物の侵入もあります。それでも軽さを優先したい人は「フロアなし」を選びます。
今回は雨や虫の侵入を防ぎたかったので、「フロアあり」を条件にしました。
そして、重量は「1kg以内」であること。今は1kgを切るドーム型テントもあるのでここを限度にしました。
それでは、「フロアあり」で「1kg以内」のULテントを軽い順に見ていきましょう。
「フロアあり」で「1kg以内」のトレッキングポールテント20選
自分用にULテントを軽い順にまとめた表を載せておきます。
間違ってる箇所もあるかもしれませんので参考程度にどうぞ。正確な情報は各メーカーのサイトをご参照下さい。
Zpacks / Plex Solo Tent 395g
Zpacksの創業者Joe Valeskoは、トリプルクラウナーの熟練ハイカーです。彼はアパラチアントレイルのスルーハイクのなかで使用する道具に不満を感じて、アパートの一室で道具の自作をはじめました。それが、ULハイキングギアのZpacksのスタートになります。
Zpacksのシェルターの特徴は、生地に超軽量かつ耐久性のあるダイニーマ®・コンポジット・ファブリック(DCF)を使用していることです。
重量は驚きの395g。ペットボトルよりもさらに軽いです。
形状はフライに浮遊するバスタブフロアが吊り下がっているという感じ。フライにはジッパーがなくフックで留める仕様です。メッシュドアは半月の形に大きく開くため、ドアの真ん中にポールがあっても出入りに困ることがありません。
最小重量:395g
Tarptent / ProTrail Li 453 g
プロトレイルはタープテントのなかでも人気のモデルです。素材は同じくDCF。
設営には2本のポールを使用して、一方は61cm程度の長さで設置します。そのため片側が低くなっています。小さなタープにフロアとメッシュを付けたような見た目のテントです。今日の寝場所を主張するスタイルがカッコいいです。
最小453 g 総重量:504 g
ProTrail 627g
プロトレイルにはフライ生地に20D のシルポリを使用したモデルもあります。フロアは、30Dのシルナイロン。DCFは高いので普通バージョンがあるとありがたいです。
最小重量:627g 総重量:680 g
Hyperlite Mountain Gear / MID 1 476g
発表されたばかりの超軽量のワンポールテントです。
シングルウォールですが、前室も備えているので荷物の収納に利用できます。フライシートも地面まで覆っていてプライバシーもばっちり。DCFなのでスケスケですが(笑)
ドアはフルメッシュで開放感があって、しかも軽い。夏山の長期縦走に良さそうなテントです。
最小重量:476g
Tarptent / AEON Li 478 g
タープテントのAEON LiもDCFの生地を使用した超軽量のワンポールテントです。
AEON Liの特徴は、独自のピッチロックシステムです。通常のピラミッド型のテントでは、テント内で横に寝そべったときに顔の前にフライ生地が垂れて不快な思いをすることがあります。しかし、AEON Liは地面近くの壁を垂直に立ち上げることで、その圧迫感を解消しています。頭上にもポールがついて開放感があります。このため、普通のピラミッド型テントとは異なるシルエットになっています。出荷時にシームテープ加工されています。
最小重量:478 g 総重量:543 g
DURSTON / X-Mid Pro 1 499g
ダーストンのX-Mid Pro 1は2本のポールを使用するツインポールのテントです。
構造はダブルウォールです。フライにはDCF、インナーテントにメッシュを使っています。
特徴は、ポールとインナーテントの配置です。文字で説明するのは難しいので写真を見て頂きたいのですが、ポールもインナーテントもフライの長方形に対して斜めに配置されています。
こうすることで、フライシートを固定するペグの本数が減る(最小4本)、大きな前室が2か所できる、ドアにポールが干渉しないなどのメリットがあります。見た目はピラミッドが2つ並んだツインピラミッドという感じ。
設営は非常に簡単です。シームテープ加工済みで出荷されます。
最小重量:499 g 総重量:544g
X-Mid 1 795g
X-MidとSolidは、フライ&フロアに20dのリップストップポリエステルsil/PEUを使用しています。DCFと比較すると、かなり重量が増しますが、比較的安く作ることができます。
最小重量:795 g 総重量:875g
X-Mid 1 Solid 825g
僕はX-Mid 1 Solidを所有しています。X-Mid 1 Solidはインナーが非メッシュです。
最小重量:825g 総重量:905g
このテントを使用してヨーロッパのトレイルを歩いてきました。(のちに更新予定)
こちらはファーストレビューの記事です。
Gossamer Gear / The One 503g
take less. do more.
ゴッサマーギアは軽量なバックパックでスタートしたUL界のパイオニア的メーカーです。日本に代理店があるため入手が容易です。
The Oneは居住空間が広いという評価を見かけます。
生地には非常に薄いナイロンを使用しているため、雨天時にたれる可能性があります。ただ、生地が薄いということはその分小さく畳めるということでもあります。
動画で見る限り、DCFのような透け感はなさそうですがどうでしょうか?やはり透け感のないテントのほうが、密集したテント場でも周りが気になることなく使えます。
安価で、出荷時にシームテープ加工されているのが嬉しいポイントです。
Zpacks / Duplex Tent 525g
海外の様々なサイトで評価の高い2人用のULテントです。生地はDCFを使用しているので高価ですが、軽量かつ耐久性があり、かつ快適性を提供してくれるので価格に見合ったテントだそうです。両サイドのドアが大きく開いて開放的なところがアメリカのトレイルに似合いそうだなと思います。
実は、僕はこのテントが欲しくてトレッキングポールテントを調べ始めました。しかし、値段や構造的なことを考えた結果、断念しました。
すべてのガイラインを固定するには 8 本のペグが必要ですが、それらは含まれていません。シームテープ済みで出荷されます。
最小重量:525g
Tarptent / NOTCH Li 558g
タープテントのDCFを使用した一人用ツーポールシェルターです。
特徴はダブルウォールであることで、メッシュと非メッシュが選べます。タープのみのフロアレスシェルターとしても使用可能です。
Tarptentの他モデルと同様、ピッチロックシステムにより快適性が上がっています。両サイドにはドアが付くオーソドックスなスタイルです。
最小重量:558g 総重量:607g
Notch 737g
普通バージョンのNotchは、フライの素材が30D リップストップシルナイロンです。
2023年からは、20Dリップストップシルポリエステルを選べるようになりました。
最小重量737g 総重量792 g (ポリフライ+ソリッドインナー)
Gossamer Gear / The Two 667g
The Oneの大きいバージョンで2人用です。
ZpacksのDuplex Tentと似ています。Duplex Tentの値段が高いと感じる方は、The Twoを選ぶのもありかと思います。
大きさはDuplex Tentの230×114×122に対して、213×107×109。重さ525gに対して667 gの140g程度の差です。
軽いので、一人で使用するのにも良さそうです。
最小重量:667g
Hyperlite Mountain Gear / UNBOUND 2P 680g
今年発売されたUNBOUNDシリーズのテントです。
明らかにZpacksのDuplex Tentを意識していると思われますが、この形が使いやすいということでもあるかもしれません。
特徴は、ジッパーに止水ファスナーを使用していること。
これまではDuplex Tentの独壇場でしたが、そこに割って入るテントだとの評判です。
実物はかっこいいテントです。
最小重量:680g
3F UL GEAR / Lanshan 1 Pro 690g
中国メーカーのULテントです。
ランシャン1 Pro は、一人用のシングルウォールのワンポールテントです。後述する、Six Moon Designs Lunar Soloに非常に似ています。
違う点を挙げると、一つはフライの素材です。Lanshan 1 Proがナイロンに対して、ルナーソロはポリエステル。面積はルナーソロのほうが広いです。
また、大きく違う点は価格。ルナーソロより50gほど軽く、しかも安いです。
3シーズンと4シーズン用が選べます。
最小重量:690g 総重量:840g
Lanshan 1 760g
3シーズン $137 4シーズン$158
普通バージョンのLanshan 1です。
Lanshan 1Proはシングルウォールですが、Lanshan 1はダブルウォールです。3シーズンと4シーズン用に、メッシュと非メッシュのインナーが用意されています。
どちらにするかは購入時に選べるというシステム。安いし、便利だし、軽い。言うことないです。
最小重量:760g 総重量:910g
Six Moon Designs / Lunar Solo 740 g
海外はもちろん日本でも評価の高いシックスムーンデザインズのルナーソロ。一人用のシングルウォールのワンポールテントです。BACKPACKER誌のエディターズチョイス2019年を受賞しています。
海外ではソロハイカーでも2人用を選択することも多いようですが、確かにルナーソロを広い場所で見ると小さいです。でも、日本のこじんまりしたテント場にはこういうULを極めたようなテントが似合うなと個人的には思います。
ルナーソロは最初に紹介したZpacksのPlex Solo Tentや3F UL GEARのLanshan 1 Proと非常に似ていますが、室内空間はこちらのほうが広いです。また、高価なDCFではなく、シリコンコーティングしたポリエステルを使用しているため安価であるのも選択がしやすくなっています。色は2色展開です。
最小重量:740 g
Mountain Laurel Designs / SOLOMID XL 764g
一人用のピラミッド型のワンポールテントです。
フライの素材はDCF(396g)かシルポリ(453g)の2択。
メッシュのインナーテントもDCF(269g)とシルナイロン(311g)から選択可能。
人気があるそうですが、スペックを見る限り一人用として非常に使いやすそうです。
最小重量:764g (シルポリ+シルナイロン)
LOCUS GEAR / Khufu Tyvek 790g
リストで唯一の日本メーカーのテントです。
使用する人数によって、クフ、ハピ、カフラなどサイズを選べます。
今回は一人用に良さそうな、クフを紹介します。
クフ:270cm x 幅160cm x 高さ130cm
ハピ:270cm x 幅 180cm x 高さ 130cm
クフにはカスタムコレクション3種類とスタンダードコレクションの1種類のバージョンがあります。
・Khufu Tyvek 防護服や衣料用のものより耐久性、強度の点で優れたソフト・タイベックを使用
・Khufu DCF-B 縫い目の無い防水素材DCFを使用。
・Khufu Sil 30Dのシルナイロン
・Khufu HB スタンダードコレクションの品。
メッシュインナーを使用することで、フロアありのダブルウォールとして使用できます。インナーテントもフルメッシュやハーフメッシュ等も用意されているため、利用目的に合った構成にできます。
最小重量790g(タイベック+2/3メッシュの場合)
Six Moon Designs / Haven Ultralight Tent 963g
タープにネットテントがついたような形状のダブルウォールのテントです。タープと違うのは、前後にドアが付いているので周囲の視線をシャットダウンできること。
かなり広いスペースを取り、ゆっくりと過ごすことができそうです。
最小重量:963g
まとめ ULポールテントを手に入れるには?
ここに載っているテントはUL系のショップでしか扱っていないことが多いため、マメにチェックして売り切れる前にゲットするのが吉。
リンクを紹介しているものは、大手通販サイト(楽天市場など)でも扱いがあります。
このリストが超軽量のトレッキングポールテント選びの参考になれば幸いです。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
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