GPSと水場『大峯奥駈道』5泊6日テント泊縦走(2日目)
2019年のゴールデンウィークは、以前から憧れていた紀伊山地のロングトレイル『大峯奥駈道』と『熊野古道中辺路』を7泊8日でテント泊縦走しました。
大峯奥駈道
プロローグ 山伏の道を歩く『大峯奥駈道』テント泊縦走 0日目
1日目 修行の道『大峯奥駈道』5泊6日テント泊縦走(1日目)
2日目 いまここ!
3日目 山伏とほら貝『大峯奥駈道』5泊6日テント泊縦走(3日目)
4日目 フライクリークUL1EX『大峯奥駈道』5泊6日テント泊縦走(4日目)
6日目 ハイカー『大峯奥駈道』5泊6日テント泊縦走(6日目)
熊野古道中辺路(小雲取越・大雲取越)
プロローグ 巡礼の道『熊野古道中辺路』1泊2日テント泊縦走(0日目)
7日目 ノックアウト『熊野古道中辺路(小雲取越・大雲取越)』1泊2日テント泊縦走(7日目)
8日目 旅の終わり、海へ。『熊野古道中辺路』1泊2日テント泊縦走(8日目)
まとめ
ロングトレイルの装備 ロングトレイルを歩いたので装備・持ち物をまとめました。【大峯奥駈道~熊野古道中辺路】
大峯奥駈道2日目がスタート
昨夜は早くに寝袋に入ったが、それからは眠れずに、自分が寝たのか寝ていないのかわからないまま朝を迎えてしまった。
眠れなかったのは、憧れのロングトレイルに緊張しているせいかもしれないし、となりのテントから聞こえてくる盛大なイビキが気になったせいかもしれない。
どちらにせよ、今日は、昨日歩けなかった分を取り返すために早くスタートしたい。眠ることを諦め、朝4時前に寝袋から抜け出す。
朝食は袋ラーメンに魚肉ソーセージ一本。合わせて500キロカロリーの朝食は、すぐ食べ終えた。
これから6日間は同じメニューが続く。体力が持つのか、いささか不安になる。
凍る山上ヶ岳
昨晩は10人ほどがテントを張っていたが、いつの間にか皆出発したようだ。
私は6時に出発した。
大峯奥駈道2日目の目標は、18キロ先の弥山小屋にした。たどり着けなかった場合はムリをせずに、途中の森にテントを張ることにした。
歩き出してすぐに、無人の陀羅尼助茶屋を通過する。
柱に打ち付けられた温度計を見ると、-2℃を差していた。今朝もテントの結露が凍っていて手で払うとサラサラと落ちたし、ゴールデンウィークの山はこんなに寒いものなのだろうか。
茶屋からは階段が続いた。
昨夜は少し雪が降ったらしく、黒い岩や葉の落ちた木々が白く化粧していた。岩からは冷たそうなつららがのびている。
木の階段は凍っていて、つるつるとすべった。崩れた階段は踏み板が斜めになっているから慎重に歩く。
山上ヶ岳の山肌が見渡せるようになると、その水墨画のような景色に気分が高揚する。
霧氷で白く輝く道を、山頂目指して登っていく。
山上ヶ岳の頂上には大きなお堂があった。この大峯山寺(山上蔵王堂)は修験道の根本道場であり、世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部として登録されている。
周辺にはいくつか宿坊がある。しかし、人気がなくひっそりとしていた。営業は5月に入ってからのようだった。
修験者の行場のひとつ『西ノ覗き』は、山上ヶ岳山頂のすぐそばにある。
『西ノ覗き』は有名で、山伏の人が絶壁の岩の上から吊り下げられている写真を見たことがある人は多いのではないだろうか。
絶壁の岩にはボルトが打ち込んであり、チェーンが掛かっていた。ここを支点に吊り下げられるのだろう。
バックパックを安全な場所におろして、上からのぞき込んでみた。
うぇ~、なんだこれは……。半端ない怖さだ。
後から行く人のために写真は載せないでおく。「一度経験してみたい」と思っていたが、絶対に遠慮したい。
登山用のGPSアプリは持っておきたい
道は、上りと下りを繰り返す。
クサリ場と倒木の迂回を繰り返す。
ひたすら、その繰り返しだ。
特に印象的だったのは、登山道付近に倒木が多いことだった。人の手もあまり入っていない感じがする。多すぎて放置するしかないのかもしれない。
それは登山道にも影響があって、普通の登山道では考えられないぐらいの倒木が登山道をふさいでいた。
大抵は斜めに覆いかぶさっていて、しゃがんでくぐっていけば通過できるものの、迂回しなければいけないことも多かった。はじめはアドベンチャー気分で楽しかったが、あまりにも多いので慣れっこになってしまい、迂回が上手くなった。
少しドキドキしたのは、迂回したあとに踏み跡が見つからなかったときだ。1度は完全に道を見失って尾根を別方向に歩いていってしまったことがあった。それ以外は、迂回したあとにちゃんと復帰できたが、本当にこの踏み跡でいいのかがわからずに確認のためにスマホのGPSに頼ることになった。
GPSといえば、小笹の宿の沢で水を満タンに補給したあとに沢沿いの斜面を登っていくが、そこでは道を2回見失った。
登山道がうっすらと雪で覆われていたからだ。踏み跡が見つけられなくなっておかしいなと思ってGPSで確認するとルートから外れている。後ろを振り返ると、離れたところを付いてきている2人も間違って登ってきているということが2度あった。
GPSがなくても歩けなくはないだろうが、私はGPSに助けられた。大峯奥駈道は歩いている人数も少ないので、スマホのGPSアプリぐらいはあったほうが安心だろう。
水場が少ない
大峯奥駈道は水場が少ないので、事前に計画を練っておくことも重要だと思った。
今日通過した小笹の宿には水量の豊富な沢が流れていてラクに満タンに補給できた。もちろん、水場はほかにもある。しかし、登山道から離れていたり、水場が枯れている場合もあるようだ。
多くの水を持てば重くて肩にくるし、少なければ軽いけど不安になる。
そのバランスをどう取るのかが難しく、常に水のことを考えているから、突然前方に水場が現れたときは嬉しくて、遠くから望遠レンズで写真を撮ってしまった……。
水をどれぐらい必要とするかは、調理で使う量にもよる。私は2日分の水を持って歩くことにした。プラティパス2L、プラティパスもどき1L、ペットボトル0.5L、水筒0.35Lの計3.85L分を持った。喉が渇いたら水を軽く含むぐらいにして、なるべく水を消費しないようにして歩いた。
華やかな登山に戻る
昨日から今日にかけて厳しい道を歩いてきたので、もう数日も歩いている気がする。
まさに修行しているような気分になっていて、一歩を積み重ねることだけを考えて歩いてきた。
それが、行者還岳を越えたあたりで異変を感じた。
雰囲気の違う登山客が増えたからだ。
そして、真新しいバックパックを背負った女性のグループを見たときに気付いた。
女人禁制区域の外に出たのだ。
正直、素直に喜んでいいのか、わからなかった……
自分では気付かなかったが、ソロの男ばかりがモクモクと歩く登山を結構楽しんでいたようだ。
行者還小屋から弥山小屋までは、普通の山と変わらず賑やかな登山になる。
そして間もなく、弥山小屋に到着。
弥山小屋は立派な小屋だ。食料やアルコールの販売もある。水は有料のようだ。トイレも有料だが、大きくて清潔感がある。
小屋前の乾いた場所では、テントが隙間なしに張られていた。フェスみたいな感じ(行ったことはない)。離れたところにもスペースがあったがすでに良い場所は埋まっていて、じめじめとしたスペースがいくつか残っているという状態だった。
木立の裏に一人用のスペースを見つけた。眺めがいい。ジメジメして、動物の糞があるもののテントは張れそうだったので、そこを今夜の宿に決めた。
夕方になると冷えてきた。皆、ダウンを着た背中を丸め、手をポケットに入れて歩いている。
今日も早く休むことにした。
(2019年4月28日)
大峯奥駈道5泊6日テント泊縦走(2日目)の記録
行程/6:00洞辻茶屋~17:30弥山小屋
天候/曇り?
通過した主な山/大普賢岳(標高1780m)、山上ヶ岳(標高1719m・日本三百名山)
メモ/スマホの電池が2日間で切れた
移動距離・所要時間/11時間半(終了時ボタン押し忘れ)