天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

雨の登山|谷川岳【百名山】

登山開始

一昨日にアパートを出発し、「上州登山」の旅が始まった。

昨日は1つ目の山、群馬県の武尊山に登った。その後、昨晩のうちに、谷川岳の麓まで移動してきた。

 

谷川岳ロープウェイ駅に近い土合駅の駐車場で車中泊しようと思っていたが、行ってみるとなんだか雰囲気が怖い。真っ暗な砂利の駐車場の向こうに、ぼぅーっと駅舎の光が灯っている。目の前の道路を何度か往復してみるがやっぱり怖い。「本当にここに泊まる人はいるんだろうか」とネットでもう一度調べると、「霊が出る」と見てしまったので、近くの白毛門駐車場に移った。白毛門駐車場もだだっ広くて、充分に怖かったが、土合駅よりはマシだと思うことにした。

 

昨晩の天気予報では雨ときどき曇りの予想だったが、朝起きると晴れていた。

谷川岳の方を見ると、頂上付近は雲で覆われているが大丈夫だと思えた。昨日痛めた膝も問題なさそうだ。

行けそうだと思うと気分が良くなった。用意をしているうちに、数台の車がやってきた。

 

谷川岳ロープウェイ

 

谷川岳は群馬県と新潟県にまたがる山だ。頂上は2つあって、トマの耳(標高1963m)とオキの耳(標高1977m)とに分かれている。駐車場から谷川岳ロープウェイの土合口駅までは歩いて15分。そこから一気に標高1319mの天神平まで向かう。ロープウェイの料金は往復2060円。

 

今回の旅の目的は、関西に引っ越す前に関東近郊の百名山を登っておくこと。そして裏テーマとして、紅葉の百名山を登ること。

しかし、ロープウェイからの眺めにはガッカリした。麓には紅葉の気配がまったくなかったからだ。天神平駅に着いて、壁に貼ってあった案内を見ると、天神平の見頃は10月10日とあった。今日は10月3日。天神平には黄色に色づいた木々があったものの、ここから頂上までは木がなさそうだった。天神平と麓では見頃が違うのかもしれない。

 

雨の谷川岳 

天神尾根


平日のせいか、登山客はまばらだった。少々心細いが、登山道に入っていく。

熊穴沢避難小屋までは順調に進んだ。そこから、天神尾根をよじ登っていく。しかし、標高が上がるにつれ雲行きがあやしくなってきた。

途中には鎖場や岩場があったが、初心者でも問題なく登れるだろう。人が少ないので鎖場で渋滞するようなこともない。最近不都合を感じているのは、鎖場や岩場に来たときのトレッキングポールの扱いだ。いちいちバッグを下ろして仕舞うのが億劫。何か対策を考えないといけない。

 

ガスの谷川岳


途中からガス(もや?雲の中?何ていうの?)の中に入り、間もなく雨が降りはじめた。

慌ててバッグからシェルを取り出して、着こむ。

前に行く人を見上げると、ガスのなかに入り、すぐに見えなくなった。

登るにつれて風も強くなった。

雨に当たって辛いのでフードを被ったが、フードを絞る方法がわからなくて、被っても、被ってもすぐに風で取れてしまう。こういうことは、先に試しておくべきだった……。

これまで登っていた山と違い、本格的な登山の感じがしてきた。気持ちが引き締まる。

 

谷川岳トマの耳


頂上のトマの耳もオキの耳も、着いたときは自分一人だった。写真と動画を撮ってすぐに退散した。

下山を開始したが、眼鏡が曇って、数メートル先が見えない。眼鏡を外してハンカチで何度も拭くがすぐに曇ってしまう。ふと気づいて、眼鏡をかけずに歩いてみた。すると裸眼のほうが鮮やかに見えることに気づいた。それからは裸眼で歩く。

アウトドアはコンタクトレンズを使用することが多いが、登山もコンタクトのほうが良いかもしれない。

 

谷川岳肩の小屋


肩の小屋は、この間読んだ『孤高の人』に出てきた気がする。

思ったよりも小さな小屋だった。雨と風でビュービューと横殴りになっている中に佇んでいた。

 

肩の小屋に入る勇気はなかった。でも、せっかくだからと思いきって開けてみると、中にもう一つ扉があったのでほっとした。その扉のガラス越しになかを覗くと、数名ずつのグループがテーブルを埋めていた。小屋の人と談笑している。苦手なシチュエーション。さすがに、入れなかった。

雨に降られないだけでもありがたい。軒先で少しだけ休憩する。

気づいたら、飯を食っていなかった。よほど緊張していたのだろう。このところ気に入っているカントリーマームを食べてから、再度雨のなかを下山した。

 

雨の登山

まだ雨が降り続いている。

いま私がいるのは、道の駅。隣は街道が走っていてたえずトラックが通りすぎるが、駐車場には誰もいない。カエルの泣く声と、雨の気配があるだけだ。看板を照らすライトを頼りにコンビニで買った弁当を食べ、ひと心地ついた。

二日目になって、顔がヒリヒリする。少し焼けたみたいだ。そして、すべてがウェットな状態だ。靴の匂いが車に充満していてやりきれない。

 

前日と今日と雨に降られた。

山頂からの眺望がなくて残念だったが、それはそれで良い経験になったと思った。

手袋は必須だとわかったが、今日で完全に濡れてしまった。靴は二つ持ってきていて、トレッキングシューズとトレイルランニングシューズだが、どちらもぐしょぐしょになって全滅。

また、古いスパッツが気に入らないので、その代わりにいつでも着けておけるゲイターが欲しいと思った。ズボンがすぐに泥だらけになるし、少々の雨ならシェルの上とゲイターだけで行ける。

シェルのフードの絞り方が分かってからは快適になった。帽子とフードは必須。帽子は防水の必要がある。

昨日痛めた膝は、小股で柔らかく接地すると痛まなくなった。

(2017年10月3日)