天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

北海道の「森」と「絶景」の夏山に登る

雌阿寒岳


北海道の安アパートに移住してきた。

着いて早々に悩んだのは、短い夏の過ごし方だった。

たぶん9月中旬には秋が始まるだろうから、夏は2か月間しかないことになる。関西なら6~10月くらいまでは、夏日になることを考えると、随分と短く感じた。

この短い夏をできるだけ有意義に過ごしたい。

登山やキャンプ、釣りやカヤック……。

夏の間にやりたいことは沢山あったけど、北海道の山が素晴らしかったので、結局は山ばかりに登ることになった。

今回は動画に登った山をまとめました。山を選ぶ際の参考になれば幸いです。

 

2か月間に登った北海道の夏山

夏の間に登ったのは、日本百名山、二百名山、三百名山の山々だ。

大雪山系の山はテント泊、それ以外は日帰りで登った。

 

北海道の夏山

 

雌阿寒岳

雌阿寒岳(標高1,499m)は日本百名山である。

スタートはアカエゾマツの美しい森だった。

森林限界を越えると、草木はなくなり、石と岩だらけの道になる。まるで地球外の惑星のような石と岩のハードな道は新しく買ったローンピーク6を試すのに好都合だった。

登山店では、トレランシューズは足裏が痛くなるという説明をよく受けるが、個人的には、足裏が痛いと思ったことはない。ローンピークも足の裏で石の感覚はあるものの特に感じない。横からの圧迫はさすがに痛いが、これはトレランシューズなら皆同じだ。

 

雌阿寒岳は活火山だ。フジツボのような火口がぽっかりと口を開け、現在も噴煙を上げている。火口の脇を歩いていくと、正面に阿寒富士が見える。雌阿寒岳は赤いが、阿寒富士は黒い。その黒の正体は砂利だ。遠くから見ると、その黒い山肌にジグザグに縫う登山道が見える。正直、外から見て、見るからにきつそうな山には登りたくなかったが登った。頂上に着くころにはふくらはぎが悲鳴をあげた。シューズに酷な砂利、一歩ごとに砂煙が舞い上がり、小石が跳ね上がって足首に降りかかる。下りてくる間に、靴の中にたくさんの小石が侵入したので、何度か靴を脱いで取り除くことになった。

 

天塩岳

天塩岳(標高1557m)は道北に伸びる北見山地日本二百名山だ。

天塩岳ヒュッテから前天塩岳、そして天塩岳に登り、新道で降りるコースを歩いた。

ダケカンバの森を流れる沢を渡ってスタート。途中までは登りやすい道が続くが、前天塩岳の手前からのガレ場はずるずると石が滑って登りにくかった。

山頂からは大雪の山々が見えた。北アルプスのようにギザギザ尖ったカッコいい山が見えるわけではないが、広々とした景色は気持ちが良くて好きだ。

ハイマツのなかを伸びる登山道は、以前登った四国の剣山を思い出した。

 

天塩岳頂上

 

ニセイカウシュッペ山

ニセイカウシュッペ山(標高1,883 m)は北大雪を構成する日本三百名山だ。

ぼくが登った山に限った話だが、登山道に水が染み出していて、靴が泥だらけになることが多かった。

そして、気温が上がった日の森の中はムシムシとしている。地面から湯気が出ているんじゃないかというほどだ。もわ~としているので、長袖長ズボンだとうっとおしいと思う。とはいえ、北海道の山は稜線上に出ると半袖短パンだと寒く感じるので、多くの人はTシャツか長袖に長ズボンだった。

 

森が活き活きとしていると、虫の動きも活発だった。北海道にきて感じるのは虫の多さだ。様々な虫が乱舞していて、一心不乱に動き回っている。ハエがうるさく飛び回っているのはカンベンだけど、虫にも夏の間にやることが沢山あるのだろう。

 

ニセイカウシュッペ山より

 

斜里岳

斜里岳(標高1,547m)は知床半島の付け根にある日本百名山だ。

沢筋を登る旧道から登り、新道で下りた。

この山は変わっていて、前半は渡河を繰り返す。何度も沢を渡るのだが、安全に行くなら水にぬれる覚悟で沢に入って渡河する方が良いと思う。ぼくは嫌なので石を飛んで渡った。

最初はアスレチック的に楽しんでいたが、途中から急に斜度がきつくなったので少々ビビった。滝の脇の岩肌は水しぶきで濡れているため、滑落に注意が必要だ。もし大事な人がいるとしたら、僕なら一緒には登らない。

後半は普通の山と同じ。眺めがよく、オホーツク海が見渡せる。

 

斜里岳は渡河を繰り返す

 

黒岳

黒岳(標高1,984m)は表大雪の山だ。

北海道に移住してはじめて、「大雪山」とはひとつの山の名前ではなく、黒岳や北海道最高峰の旭岳などの山々をまとめて呼ぶ名称なのだと知った。大雪山にもグループ分けがあって、北大雪、表大雪、東大雪、十勝連峰がある。

 

黒岳には層雲峡からロープウェイとリフトを乗り継ぎ7合目まで登る。

そこから黒岳までは往復で約2時間半。天気が良ければ、絶景が広がる。

ぼくは先に進んで黒岳石室でテントを張った。そこからお鉢平巡りを開始する。

 

初めて北海道の山を登るときに注意したいのは夏でも雪渓が残っていることだ。

動画を見て頂くと多くの雪渓が観れる。

緑色の山に白い雪渓がある風景は、眺める分には美しいものの、そこを歩くとなると別。お鉢巡りをすると途中でこの雪渓を登ることになった。上から下りてくる人たちは腰が引けていて、一歩ずつ足元を確かめるようにソロソロと降りてくる。一歩滑れば間違いなくケガする以上なので、見ているとどんどん怖くなった。無事に降りてきた人たちは、口をそろえて「怖かった」と言った。

僕の先に登った方は一歩ずつ確実に歩いてみるみるうちに登り切ってしまったのに、ぼくといえば途中から道をずれてしまって立ち往生。マジで怖い。足がすくむ思いをしながら下り返して、また登ってという感じで肝を冷やした。

僕はこの時に何も装備を持っていなかった。下山した後に速攻でチェーンスパイクを購入した。

 

また稜線上の風の強さにも驚いた。

この夏は計6回ほどお鉢巡りの稜線を歩くことになったが、そのいずれの日も風が強かった。風は夏でも冷たく、みるみる体温が奪われる。天候の変化も激しく、ウィンドブレーカーを脱いだり、着たりというのを繰り返した。

 

御鉢平

 

その他の山

その他には日帰りで雄阿寒岳羅臼岳にも登った。この時の様子は、『アルトラ ローンピーク6』の動画で簡単に紹介している。実は、知床連山を縦走しようと思っていたが、天候が思わしくなかったため日帰りに変更した。

 

夏の大雪山は旭岳側からも登った。

旭岳から南に縦走しようとしたけど、2度敗退。この様子は後ほど動画にしたいと思う。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

 

動画について

日帰りで登れる北海道の夏山を動画にしています。それぞれ個性的な山々です。ぜひご覧ください!

 

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