天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

青梅丘陵で「地図読み登山」をする【山と渓谷 2016年9月号】

青梅丘陵にやってきた

青梅丘陵という山ですらない山にやってきた(失礼)。

正直、「青梅丘陵に登らない?」と若い娘に誘われても絶対に登りに来なかっただろう(うそかもしれない)。

 

そんな「丘歩き」のために、いそいそと電車を乗り継ぎ、はるばる奥多摩までやってきたのは、とにかく地図読みの実践がしたくて居てもたっても居られなかったからだ。

 

『山と渓谷 2016年9月号』

先日、『地図読み はじめの一歩』を読んだ。

今回はその実践として青梅丘陵に来たが、本当は本をひと通り読んだ後は、どこかの講習に参加する予定だった。

しかし、どの講習も内容が本と被るうえに、5000円位かかるので二の足を踏んだ。開催時期もずっと先になる。

そんなときに、図書館で『山と渓谷 2016年9月号』を見つけた。

 

『山と渓谷 2016年9月号』の特集は、「読むセンスを磨く。たのしい“読図”」。

『地図読み はじめの一歩』とは少し違う切り口で、練習問題を解くことで地図読みの理解を深めていく。

付録の「基本がわかる!地図読みドリル」も、スキマ時間にトレーニングできるように構成されている。

 

実践編では、講師と生徒が実際に山を歩きながら地図読みを学ぶコーナー。

そのルートが青梅丘陵だった。

この記事を読んで、講習に参加せずに済むと思った。

紙面には、ルート上でチェックすべきポイントと写真が載っている。このルートをなぞって歩けば、講師に教えてもらうのと同じように学ぶことができると思ったのだ。独学ならお金もセーブできる。

 

青梅丘陵のハイキングコースを歩く

今日は、この『山と渓谷 2016年9月号』のルートを歩く。

雑誌に載っていたチェックポイントは全て地形図に書き込んである。

さあ、出発だ。

 

 

青梅駅のホームに降り立つと、住宅の向こうに青梅丘陵が見えた。

駅の裏手に回り、坂を登っていくと、すぐにハイキングコースに入った。

 

今日は土曜。トレイルランナーもたくさんいるし、道は遊歩道だから迷う心配は一切ない。

そう思った矢先、「え?ここを下るの?」と足が止まる。

道はあるが、いままで歩いてきた道とは明らかに質が違う。

こういうときこそ、とコンパスを取り出し方角を確認する。

小道にコンパスの長編を合わせ、リングを回して矢印を地図の磁北線に合わせる。そして、コンパスを胸の間で構える。

……間違いないようだ。

念のために雑誌で確認すると、「尾根から外れ急斜面を下る」とあった。

 

そこからは、しばらくの間誰とも会わなくなった。急に心細くなる。

慎重にキョロキョロと周りの地形を見ながら進む。尾根の張り出しや沢などをチェックする。現在地を確認するときは、スマホのGPSを使った。すると、かなり進んだつもりがまだ少しも進んでいないことがよくあった。

 

それでも、頻繁にコンパスを取り出し、方向を確かめるうちに、コンパスワークはスムーズになった。

地図通りに尾根があり、谷があることがわかると面白くなってきた。

 

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(12の尾根)

 

途中2度道を誤った。

とくに、下山口の「チェックポイント12」はひどく迷った。

一つ手前の尾根に入り込んでしまったからだ。

 

尾根の道は明瞭だった。しかし、歩みを進めると、少しずつ踏み跡が怪しくなっていく。おかしいと思いながらも落ち葉を踏みしめていくと、この先は急斜面になるというところで、木の下で休憩中のニホンカモシカとばったり会った。

目が合ったままで、近づいても動く気配がない。しょうがないので、「通るねー」と目の前を横切って、先の斜面を確認してみるが、どうも道らしきものはない。踏み跡があるところまで戻ったり、荷物を置いて斜面を下りてみたりして、何度も往復する様子がGPSのログに記録された。

 

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ウロウロするぼくをうるさく思ったのか、カモシカがゆっくりと腰をあげて、ぼくが歩いてきた元の道のほうへトボトボと歩いていく。

カモシカを目で追っていると、これは元の道に戻れということかな、と思った。

ぼくは、元の道に戻り、もう少し先に進んで下山口を探すことにした。

するとすぐに、緩い尾根が現れた。その尾根こそが下山口の12のポイントだった。黄色の看板に「石神前駅」と書いてあった。

しかし、尾根の入り口は広くて踏み跡が不明瞭でどこを歩けばいいかわからない。尾根の中央を進むように歩くと、次第に尾根の形がハッキリしてきて踏み跡も確かなものとなった。

 

はじめての地図読み登山を終えて

今回のコースはマイナーコース。

前日の記事にも書いたように、地形図に載っていないルートを歩いた。

踏み跡が不明瞭なところもあり、不安になることも多かった。

 

それでも歩き通せたのは、スマホのGPSのおかげだ。

実は、最近ガラケーからスマホに買い替えたばかり。念のためにと、「YAMAP」の地図をダウンロードしてログを取っておいた。

もし、GPSがなければ、現在地を見失って地図読みの練習どころではなかったかもしれない。スマホを買って良かったと心底思った。

 

初めての地図読み登山は、こうして無事に終わった。

今回の登山は、初めてのソロ登山でもあった。

(3月18日)