日本には美しい川がたくさんあります。
今日は関西のある川の源流部を辿って歩いてきました。
日本で一番美しい清流
僕には「いつか必ず見てみたい川」がある。
その川のことは、有名な風景写真家が撮影した一枚の写真で知った。
その写真には、水が限りなく透き通った清流が写っていて、それは手を伸ばせば川底の玉石が手に取れそうな美しさだった。
川の写真を解説した文章を読むと、「日本で一番きれいな清流」とあった。
日本は森が豊かなので、美しい清流は各地にある。しかし、その日本全国の川や滝をもれなく撮り歩いてきた風景写真家の大家が「日本一」なのだと言うから、それは間違いなく想像を越えるような美しさに違いなかった。
僕はすぐにでも見に行きたいと思ったが、残念ながら川の名前や撮影地に関する詳しい情報は伏せられていた。川の名前を公開することで、多くの人が訪れて自然がダメージを受ける事態を避けたかったのかもしれない。
それからは「日本で一番きれいな清流を見つける」ことが、僕の夢の一つになった。
写真を撮ったり、泳いだり、テントを張って一夜を過ごす夢を心に描いた。
それが、およそ20年前のこと。
それから縁あって関西へ引っ越すこととなり、川を探すチャンスが訪れた。
川の源流部を歩く
夏の日差しが和らいだ10月に、ある川の源流部を歩いてきた。
林道から川に下り、何度も渡河しながら遡っていく。
地図上ではすでに源流部に近いはずだけど、水は膝上に達するような水量で流れている。森が豊かだから、こんなに水量があるのだろうかと考えながら歩く。
その水はとても綺麗なので、いかにも冷たそうに見えたけど、ザブザブと川の中を歩いていると、それほど冷たさは感じずに気持ちが良いくらいだった。空を見上げると、木々の葉の間から陽が差し込んでいる。「川歩き」は、最近のお気に入りになりつつある。
前半は木漏れ日のなかのハイキングだったが、川の両サイドに高い岩が現れると雰囲気が一変した。夏を感じさせる日差しは遮られ、まだ昼過ぎだというのに日没のように薄暗くなる。
不気味なのは、その岩の割れ目の奥からゴォーーーという地鳴りのような音が聞こえてくることだ。その音は、この先にある滝の流れ落ちる音のようだったが、突然向こうから荒れ狂った濁流が流れてくるのではないかという気がしてならない。
この先の滝を見るためにここまで歩いてきたのに……、どうしよう。
ゴォーーーという音が体の隅々までブルブルと震わせ、血の気が引いていく。
なんとか滝を拝むことができた。内心、ビクビクしながら自撮りをして、即退却。
逃げるようにして元のキラキラした木漏れ日の場所に戻り、ホッとしたところで昼食を取ることにした。
今回の川はとても美しいけれど、「沢ヤ」の方々はもっと美しい川を遊んでいるのだろうな。いつか「沢登り」をしてみたいと思っているけど、チキンな僕にはムリかもしれない……
日本で一番美しい清流を探して
実は、冒頭の写真家は僕の先生だったのだけど、当時は川の名前を尋ねる機会はなかった。(もし尋ねる機会があったとしても、秘密にしている川はどこにあるんですか?と尋ねるのは気が引けたかもしれないが。)
しかし、おおよその場所は分かっているのが幸いだ。
関西にいる時間は残り少ない。
それまでに見つけて、ブログで紹介できたらいいなと思う。
(10月)
関西の美しい川を旅する
今年はこんな川にも行きました。