ハイカー絶賛のルート
関西にいるうちに、大杉谷にはぜひ行っておきたいと思っていた。
というのも、今年のゴールデンウィークに僕は熊野古道を歩いたのだけれど、そこで出会ったハイカーに、大杉谷から大台ケ原のルートがとても良かったと聞いていたからだ。
それは、日本有数の多雨地帯である大台ケ原を起源とする清流「宮川」の最上流部に位置する。
宮川といえば、伊勢神宮を流れる川なのでご存知の方も多いかもしれない。僕もはじめて伊勢神宮に行った際に、綺麗な川を見つけて「いい川だな」と思いながら、しばし休憩を取った思い出がある。
僕はそのときに宮川のことを知らなかったが、その水質が素晴らしいことは調査でも証明されている。
今年の7月に国土交通省が発表した「水質が最も良好な河川」の資料を見ると、北海道の尻別川、富山の黒部川、高知の仁淀川、熊本の川辺川などとともに三重の宮川がリストアップされているのだ。
話を戻すと、その宮川の最上流部が大杉谷ということだが、この渓谷もまたすごい。
大杉谷は新潟県の清津峡、富山県の黒部峡谷と並んで、日本三大峡谷のひとつに数えられているのである。そして、日本の秘境百選のひとつでもあるというから、期待は否応なしに膨れ上がるのだった。
今回は、大杉谷登山口駐車場に車を停めてスタートした。すぐに、岩に打ち込まれたクサリを伝いながらの歩きになる。
昨日の雨で足元が濡れていて、岩がツルツルと滑りやすい。落ちたら、完全に終わってしまう高さなので慎重に歩きはじめる。
大杉谷の第一印象は、「大味な渓谷」。谷は大きく開き、川の岩が巨大で、水量も多い。
特に水量は、恐怖を感じるボリュームと速度だった。
恐らく、先日の台風の影響だろう。
途中で出会った地元のおじいさんたちと話をすると、「僕らも何度もきているけど、こんなに水が多いのを見るのは初めて」とのこと。
水は登山道の左右のいたるところから染み出し、流れ出し、川へと流れ込んでいた。
紅葉の大杉谷
僕が出会ったハイカー絶賛のルートは、大杉谷から大台ケ原へと抜ける1泊2日のルートだった。
しかし、週末の天気が悪く、テント泊の情報も見つからなかったので今回は日帰り行となった。
平等嵓という絶壁を見て引き返す。すごい存在感だ。この先には日本の滝100選の七ツ釜滝や堂倉滝などもあるというから見どころは多そうだった。
ところで、僕が大杉谷を訪れたのは10月20日。
実は、紅葉の絶好のタイミングを見計らって出掛けたのだが、色づいている葉はほぼゼロ……
出会ったおじいさんに紅葉の時期をしっかりと聞いてきたので、次回は大台ケ原までのルートを歩いてみたい。
(10月20日)