天幕ほしぞら

旅を写真で綴るブログ

感動の『鈴鹿セブンマウンテン』2泊3日テント泊縦走(前編)

鈴鹿セブンマウンテンの夕焼け

 

 

関西からアクセスしやすいロングトレイルは多いです

僕が知っているだけでも、ダイヤモンドトレール、生駒縦走歩道、六甲全山縦走路、京都一周トレイル、熊野古道、高島トレイル、比良比叡トレイル……と多くのトレイルが点在しています。

上に向かって登る登山よりも、横に長い距離を歩く旅が好きな僕にとってはありがたい環境だなと思います。

 

今回は、そのなかのひとつ、三重県の『鈴鹿セブンマウンテン』を2泊3日でテント泊縦走してきました。

『鈴鹿セブンマウンテン』とは、鈴鹿山脈を構成する藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、御在所岳、雨乞岳、鎌ヶ岳、入道ヶ岳の7山のこと。以前は、その名の登山大会が催されていたそうです。

 

今回はロングトレイルの旅日記を、2回にわたって書きます。

 

 

Day1(11月2日) 藤原岳登山口~石榑峠 

いよいよ『鈴鹿セブンマウンテン』を歩く時が来た。

車からバックパックを下ろし、神社前のバス停へと歩いていく。椿大神社(つばきおおかみやしろ)には、朝早くからお参りする人がちらほらといた。時間に余裕があったので、僕も参道を少し歩いた。

神社の澄みきった早朝の神聖な気配が、心のなかを沈めてくれているように感じる。お参りをして一礼すると、「これから約43キロのロングトレイルを歩くのだ」という高まりで胸がじわじわと満たされていった。

 

朝一のバスに乗り込むと、運転手のおじさんが意外そうな顔をしながら話しかけてくれた。

「この時間に乗る人はいないからね」

もっとも、このバスは近鉄四日市駅行きなので、途中からは学生やビジネスマンが乗り込んできたが、始発の停留所から乗る人は滅多にいないらしい。

「昔はキスリングを背負った大学生が大勢来たけどね、いまはほとんどいない」のだそうだ。

「どこに登るの?」と聞かれたので、簡単に説明する。

 

今回は、このトレイルの終点である三重県鈴鹿市の椿大神社に車を置き、バスと電車を乗り継いで、始点の三岐鉄道西藤原駅へと移動する。

それから鈴鹿山脈の稜線を歩き、3日後にはこの終点へと戻ってくる計画である。

 

椿大神社から西藤原駅までは、2時間15分かかった。地味に大移動なので疲れる。

駅から10分ほど歩くと登山口があった。そこから、最初のセブンマウンテンのひとつ、藤原岳頂上を目指す登りが始まる。藤原岳は日本三百名山だ。土曜日なので、多くの登山客と共に歩いた。

 

藤原岳頂上付近から、登ってきた道を振り返る。

藤原岳頂上

 

頂上に立つと伊勢湾を望むパノラマが広がった。充分なスペースのある頂上で小休止を取る。

多くの人が頂上でまったりしているときに、一人で縦走路へと下りていくのは後ろ髪が引かれる気持ちになる。

誇らしいけれど、とても心細い感じ。

葉が落ちた林の急斜面をすべるように下りているうちに、踏み跡が見えなくなり不安が増していく。時折立ち止まり、テープを探しつつ、スマホでルートを確認しながら進んでいく。

 

トレイルの案内板

ルートを見失った後に現れた看板はシャレにならないネーミング。

「みしえが」の意味が分からなかった。

 

池と森

トゲが刺さって痛い……

 

藤原岳は標高1144m。そこから、標高約900~1200mの7山の稜線を繋いでいく。

アップダウンはあるが、それほどきつくはない。でも、久しぶりのロングトレイルなので初日はへばった。

初日は、藤原岳と竜ヶ岳の2つを制覇。途中で、4組ほどのグループと出会いホッとした。

 

鈴鹿セブンマウンテンのハイカー

山頂に立つソロのハイカー

山頂に立つソロのハイカー

ハイカー

ハイカー

ハイカーの影

夕方になると頭も体も疲れ果てる。足が上がらなくなり、感情も動かない。思考停止のまま次の一歩を踏み出す。

 

鈴鹿セブンマウンテンのトレイル

石榑峠とテント

 

 

初日は、石榑峠(いしぐれとうげ)にテントを張った。フラットな地面に芝生が生えている快適なサイトからは、夜景が見えた。酒飲みではないけれど、カップの焼酎を持ってきて幸せになった。

地元のハイカーの方によると、この辺りの山は風が強いことが多いそうだ。「今日は無風だからテントは最高だろうね」と言っていた。

今夜は全く寒くないし、ライトをつけても虫がこない。水場は少し歩いた場所にあった。本当に最高の夜になった。

 

Day2(11月3日) 石榑峠~杉峠

2日目に入ると、トレイルの雰囲気が変わった。

初日の代わり映えのない風景と打って変わり、森の中を歩き、何度か沢を渡った。

そのなかで、2度、本来のルートとは違う沢に迷い込んでしまった。

どちらも、テープが見当たらなくなったことで気付く。

 

2度目は、年配の3人組と共に間違った。

ルートを見失って立ち止まった僕を下から登ってきた2人が抜いていく。同じく道を探しながら進んでいるようだった。

僕はスマホを取り出した。

「やっぱりだ」

GPSのログを見ると、ルートから外れた軌跡が残されていた。正しいルートはこの谷ではなく、尾根の向こうの谷にあるようだ。

僕は、年配のグループに尋ねてみることにした。もしかしたら同じように、道を見失っているのかも知れないし、地元の人だったらラッキーだ。

最後尾を遅れて着いてきていた3人目の方に「杉峠に行かれるんですか?」と聞いてみる。

「うん」

大きな荷物を背負っていたから、やはり同じ目的地だったようだ。

僕は「ここは良く来られていますか?」と聞いてみた。

すると「いや、はじめてだよ」と返ってきた。

ということは、僕と同じで正しいルートを知らないことになる。

ここは道が見当たらないし、間違って歩いているのではないかと告げると、「おーい、この人がこの道じゃないんじゃないかだってー!」と先方を行く方々に声を上げる。3人目の方は息が苦しそうに見えた。

「ちょっと後戻りして、見てきますね」

僕はルートを確認するために道を引き返した。思った通り、50mほど戻った場所にルートを見つけた。幸いにも、ハイカーがちょうど通りかかったので尋ねてみると、僕らが目指している杉峠方面からやってきた人で、正しいルートはこちらだとわかった。それを告げに行くと、とても感謝された。

 

鈴鹿セブンマウンテンは有名なので歩いている人は多い。しかし、一部には踏み跡が不明瞭で、テープを頼りに歩く区間があった。実は、それ以外にも、20メートルほどルートを外した後に、元の道に復帰することは何度かあり、同じようにルートを踏み外している人と「上っぽいですね」と尾根を見上げて話すこともあった。

もしスマホを持っていなかったらと思うと、冷や汗が出る。実は3日目に、スマホの電池が切れてしまい、地図を頼りに歩くことになるのだが、こういう失敗は絶対したくないと思った。

僕は2年ほど前に地図読みの勉強はしたが、実際にはその技術があまり活かされていない。GPSがなければ前に進めない自分が悔しく感じる。

 

鈴鹿セブンマウンテンのトレイル

鈴鹿セブンマウンテンのトレイル

鈴鹿セブンマウンテンのハイカー

色づく森

森の紅葉

森の紅葉

杉峠でテント泊

 

 

沢沿いの紅葉は終わりかけているが美しかった。

2日目はすれ違う人が多く、テント装備の人が多いのが印象的。

テント泊適地の杉峠に到着したときは、数組のテントがあるだけだったが、後に大グループがやってきて静けさはなくなった。

杉峠は目の前に水場の沢がある(写真のテントの向こう側が沢になっている)

 

(後編に続く)

 

『鈴鹿セブンマウンテン』は後編に続きます