天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

ウラヤマ的ロングトレイル!『六甲全山縦走路』テント泊縦走に行ってきた

海と並走する『六甲全山縦走路』

5月下旬。夏のような暑い陽差しのなか『六甲全山縦走路』を歩いてきた。

『六甲全山縦走路』は、神戸の裏山的存在「六甲山」を貫く約56キロのロングトレイルだ。今回も独りで1泊2日で縦走した。

 

ちなみに、ゴール地点の宝塚というのは、“あの”宝塚のこと……。関東に住んでいた頃には、まるで縁が無いと思っていたのでちょっと嬉しい。

ついでに、名前でしか知らなかった六甲山のことも少し調べてみた。 

 

 

六甲山(ろっこうさん/標高931m)は、兵庫県にある日本三百名山だ。一般的に六甲山とは山域の全体を差していて、最高地点は「六甲最高峰」と呼ばれている。

六甲山周辺には観光施設が点在しており、グルメやショッピングのほか、牧場や展望台などレジャー施設で充実している。ケーブルカーやロープウェイでアクセスしやすいこともあり、登山以外でも楽しめる一大スポットだ。

 

 

今回は、海沿いの駅、須磨浦公園駅からスタート。

ロングトレイルといえば、普通は緑豊かな山の中にありそうだけど、『六甲全山縦走路』は海を眺められるトレイルだ。

歩き出すと、すぐに高度を上げて、まもなく見晴らしのよい展望台にたどり着く。目の前には神戸の街と海が広がる。右のほうに目を移すと、淡路島にかかる明石大橋も見えた。一度には目に入らないほどの視界の広がりがすごい。

夜景も有名だけど、なるほどな~と思った。

 

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神戸の街並みを見下ろす

 

『六甲全山縦走路』は、神戸の街の裏山をひたすら歩く感覚。時折、神戸の街と海の景色が見える感じだ。

初日の見どころは、須磨アルプスの「馬の背」。

晴天の下、ポコポコと連なる山々と色とりどりの屋根が見えた。ミニチュアみたい。 

 

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須磨アルプスの「馬の背」

 

「馬の背」までは人が多かったけど、それ以降は人が少なくなった。

ひたすら、歩く、歩く。 

低山の連続。

5月も下旬となり、低山では葉が茂り、虫も多くなった。毛虫だらけで、顔に虫がまとわりついてくるのがうるさい……。

そして、陽にも焼けた。5月末で、すでに気温は30度を越えている。Tシャツと薄手の短パンでちょうど良い感じだ。

 

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六甲全山縦走路のハイキング道

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市ケ原でテント泊

夕方に市ケ原に到着。河原でテントを張ることにした。市ケ原には売店があり、何か食べられそうな感じ。自動販売機とトイレもあった。

 

ドピーカンの晴天だったのに、一人だったのが意外だった。バーベキューや川遊びで混雑しているだろうなと思っていたが……。都会なのに一人なのはちょっと寂しい。

でも、夜になって「声がする~」と恐る恐るテントの外を覗いたら、トレランらしき人が2組、ヘッドライトを点け暗闇へと走っていった。

 

夜は冷えて、上着と長ズボンが必要になった。

今夜は快晴だから星でも見ようと思って、マットの上で寝転んでいたが、街の灯りのせいで空が明るくて結局星は見えなかった。そのかわり、海からの風が六甲の山にあたって、雲がモクモクと発生して風にのって流れていくのが見えた。オレンジ色の街の光に照らされて不思議な感じ。

 

ウラヤマ的縦走路

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つつじが咲いていた

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道路を横断することも

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街を見下ろしながら歩ける手頃なロングトレイル

『六甲全山縦走路』は、常に街の音が聞こえているロングトレイル。

山のなかを歩いているのにも関わらず、車の音やヘリコプターの音だけでなく、少年野球の子供たちが「おー、おー」と言ってる掛け声まで聞こえてくる。

夜は、汽笛の音が聞こえた。港の街神戸の、まさにウチの裏山的な感覚の山なのだ。

 

残念なのが、街に近すぎて、住宅地を歩くことが多かったこと。風景が味気ないし、アスファルトと太陽の照り返しで消耗した。

住宅街では変わり映えしない風景で道迷いしたが、スマホのGPSで復帰。『六甲全山縦走路』の標識は多いので、注意していればほぼ迷うことはないと思う。

 

 

『六甲全山縦走路』は小説『孤高の人』の舞台だった

私が唯一読んだことのある山岳小説が『孤高の人』。だいぶ前に読んで忘れていたけど、単独行を愛した伝説の登山家である加藤文太郎が歩いたのがまさにこの『六甲全山縦走路』だった。加藤文太郎は須磨に住まいがあり、須磨から宝塚まで歩き、その日のうちに須磨まで帰ってきたのだという。おそろしや。

でも、実際に歩いてみると、それがありえない距離と早さなので感嘆するんだけど、せっかく宝塚まで行ったのにまたこの道を帰ってくるなんて、何が面白いのかまったく理解できない。おそろしや。

 

『六甲全山縦走路』は手軽さが魅力

自然を求めてくるとガッカリするかもしれないけど、『六甲全山縦走路』はその手軽さが魅力だ。

加藤文三郎のように「ちょっと時間が空いたから行ってくるか!」とか、私のように「自分がいまどれくらいの距離を歩けるのかを知りたい」でも何でもいいけど、気軽にチャレンジできるトレイルなのかなと思う。エスケープルートも豊富だから、自分に合ったプランニングはしやすいだろう。

もちろん、『六甲全山縦走路』は手軽だと言っても山なので、確かな装備と余裕のある旅程を持って挑みたい。

ちょっと裏山へ。『六甲全山縦走路』はそんなロングトレイルだった。

 

六甲全山縦走路1泊2日テント泊縦走の記録

日付/5月25~26日

行程/須磨浦公園駅~市ケ原(泊)~宝塚駅

天候/晴れ

通過した主な山/六甲山(日本三百名山)

移動距離・コースタイム/約56km

メモ/初日の昼過ぎに両膝を共に痛めて悲しくなる。歩く人は生駒縦走歩道やダイヤモンドトレールのほうが多かった。六甲最高峰からは人気がなくなったが、おだやかな道になる。

水は1日1.5Lの飲み水と調理+コーヒーの1Lが必要。翌朝の分を合わせて3L+350mlでも足りなかった。