天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

高島トレイルをテント泊で歩くための「プランの立て方」と「装備の選び方」

高島トレイル

 

2022年のゴールデンウィークは、『高島トレイル』を4泊5日でテント泊をしながら歩いてきました。

『高島トレイル』は、滋賀県北西部に整備された約80kmのロングトレイルです。

美しいブナ林の中を鳥の声を聞きながら、また琵琶湖や若狭湾を眺めながら歩くことができます。

今回は、このロングトレイルの旅で使用した持ち物やプランの立て方などを紹介したいと思います。

動画では旅の最中に撮った映像をまとめましたのでぜひご覧ください。

 

高島トレイルで使った装備・持ち物の紹介

高島トレイルの装備

 

装備は『比良比叡トレイル』で使ったものとほとんど変わりません。

変わったものはウェアで、季節が晩秋から初夏に変わったため、薄めのものを着用しました。

また、食料もいつもと同じでは味気ないので、少しだけ変更しました。

装備は軽量化を心掛けていますが、ごくオーソドックスな感じかと思います。装備リストは、以前記事にしたものをご覧ください。

 

 

ロングトレイルのプランの立て方

『ヤマレコ』のヤマプラを使用してプランを立てました。

 

 

ヤマレコ https://www.yamareco.com/

 

 

プランを立てるときに考慮したのは以下の点です。

  • 「自分が歩ける距離」
  • 「テント場」
  • 「水場」
  • 「エスケープルート」

 

自分が歩ける距離を把握する

比良比叡トレイル

 

高島トレイルは全長約80kmです。

自分が歩ける距離は1日最大で20kmくらい。15km程度がちょうど良いので、6日間で歩くプランを立てました。

しかし、実際は後半で天候が悪くなってきたので、途中で日程を変更しました。結局は、5、6日目分を1日間で歩いて4泊5日の旅となりました。

 

スルーハイクする方のなかには、3泊4日で歩くという方もいましたし、トレランの方はもっと早くなるかと思います。

歩ける距離は人それぞれですので、計画を立てる前にテストしておくと良いかと思います。大きなザックを背負った状態で一日にどれくらい歩けるのか。短いトレイルを歩いてみて把握しておくとプランは立てやすくなります。

 

関西ですと、大阪からアクセスしやすい『ダイヤモンドトレール』はひとつの目安になるかと思います。

『ダイヤモンドトレール』では、45キロのロングトレイルを1泊2日で歩くことができます。1日に歩く距離が20kmを越えるので若干きついのが気になりますが、道迷いの不安がほとんどありませんし、エスケープルートも豊富です。また、アクセスが良く、テント場もあるため予行演習にはうってつけです。

 

 

テント場と水場を把握する

長い距離を歩くロングトレイルの旅では、水場のある場所にテントを張るのが理想です。

その理由は、重い水を背負って歩きたくないからですが、テントを張りたい場所に水場があることは稀です。

今回は、水を背負って歩く場合のことも考えて、余裕のある日程を組みました。

 

僕の個人的な旅の仕方の好みなのですが、計画を立てる際は、現地の写真や映像を見て事前予習することはほとんどありません。むしろできるだけ見ないようにしたほうが楽しめるので情報はできるだけ入れないようにしています。反面、「テントを張れそうな場所」と「水場」の情報はしつこく調べて地図に書き込むようにしています。旅の途中で予定変更する場合に必要になるからです。

高島トレイルの水場に関しては、ちょうど良い距離間隔で補給できたため、それほど苦労はしませんでした。ただし、季節により水量が乏しくなったり、枯れてしまっている場合があるため注意が必要です。

 

水場の情報は公式ホームページに載っていました。僕が水を補給した場所は以下の通りです。

 

 

黒河峠 林道を北へ2分下りると左側に沢がある。水量豊富。

抜土 ゲート付近。林道を右に進んだところにある沢で汲んだ。水量豊富。林道から登山道に入り、少し歩いたところにもあって、こっちのほうが美味しそうだったので汲み直した。

横谷峠 「林道を西に200m下りたところにある」という情報だったが、足元が淀んだプールになっていて近づけなかった。20mほど先の岩を滴り落ちる水を利用した。

水坂峠 道路に出る直前の左側に沢がある。僕は道路に出た場所のチョロチョロとした流れで汲んだ。先に進むと沢があった。倒木があって近づき辛いがこちらが水量豊富でおススメ。

木地山峠 分岐から東へ200mほど下りたところに沢がある。水量豊富。

 

高島トレイルの水場(抜土)

 

エスケープルートを確認する

事前にルート図をみて、途中で下山できるポイントを把握しておきました。

山道を下り林道に出たら、町まで歩けるのか、バスがあるのかを確認しておきます。

「いつでも下山できる」という確信があれば安心して歩くことができます。

 

高島トレイル4泊5日テント泊縦走の日程とアクセス

これが実際に歩いた時の日程です。

 

高島トレイルマップ

 

 

DAY1 安曇川駅→(JR湖西線)→マキノ駅→(高島コミュニティバス)→愛発越→黒河峠 7.8km

DAY2 黒河峠→近江坂 10.4km

DAY3 近江坂→桜峠 20.1km

DAY4 桜峠→木地山峠 15.7km

DAY5 木地山峠→桑原橋→(市営バス)→朽木支所前→(江若バス)→安曇川駅 18.5km

 

ヤマレコ 距離72.6 km 登り5,502 m 下り5,432 m

 

 

高島トレイルまでのアクセス

高島トレイルの北の起点はマキノ町愛発越(あらちごえ)、南の起点は朽木桑原です。

僕は車をJR安曇川駅の市営駐車場に停めて、電車とバスで北の起点愛発越に移動しました。

帰りは起点となる朽木桑原からバスを乗り継ぎ、駐車場のある安曇川駅まで帰ってきます。

 

高島トレイルのために用意した物

高島トレイルを歩くなら公式地図がおすすめ

公式マップ『中央分水嶺・高島トレイル詳細マップ』をおすすめしたいです。

僕は、3年程前に歩くつもりでネットの地図を印刷して持っていたため、今回はパスしました。『道の駅藤樹の里あどがわ』で公式マップを見せて頂きましたが、くまなく情報が網羅されていたので正直「あったほうが絶対便利だな」と思ったのですが、節約して諦めました。

公式マップは公式サイトでも購入できますし、道の駅等でも扱っています。

 

印刷した地図

 

スマホ(登山アプリ『Yamap』と『ジオグラフィカ』)

安全上、僕はスマホを「2台持ち」にしています。

山では登山アプリ『Yamap』と『ジオグラフィカ』を使用しているのですが、スマホの電力をかなり消費してしまうからです。さらに、充電用としてモバイルバッテリー『Anker Power Core Fusion 5000』を装備に入れています。

モバイルバッテリーは大容量のものを持ちたいものです。僕のは非力なので、スマホとカメラの充電で2日ほどで無くなってしまいます。今回は予備のスマホもフルに使って、「電池が持った」という感じでした。

 

トレイル上には、ところどころに「高島トレイル」の黄色いテープが貼ってあります。

しかし、テープがない場所もかなりありました。

たとえば、地蔵峠から三国岳の区間では、岩谷峠?(うろ覚え)の案内板一か所以外は、ずっとテープがない区間もあったので注意が必要です(代わりに、道案内板が多かったです)。

今回は、2か所で大きな道迷いをしました。一度はピンクのテープを追ってしまって道を外してしまいました。ピンクテープはあるけど、黄色のテープがしばらくないことで道迷いに気づきました。スマホがなくても復帰できたとは思いますが、内心「スマホがないと不安だ」と感じていて、この辺は個人的な課題としてどうにかしないといけないと思っています。

 

高島トレイルのテープ

 

ゴールデンウィークの低山ロングトレイルの気温は?服装とシュラフ選び

僕が高島トレイルを歩いたのは、ゴールデンウィークの期間中でした。

関西のGWの時期は、平地では気温が上がり、Tシャツ1枚でも過ごせる日が出てきます。しかし、昼は暖かいものの、まだ夜は冷えるという季節です。

高島トレイルは、標高は高いところでも1000m弱です。低山ですので、気温は平地とあまり変わらないのでは?と考えがちですが、山の日陰には残雪も見られました。やはり、夜はかなり冷えると考えた方がよさそうです。

 

前日に高島トレイルの麓にある『道の駅藤樹の里あどがわ』に立ち寄ったのですが、風が強く、非常に寒かったです。薄手のダウンジャケットを着るような寒さだっため、山はもっと寒いだろうと思いシュラフはモンベルの#2を持参しました。さらに、化繊ジャケットとダウンパンツを着用するという仕様です。

初日の山は思った通り寒くなりました。「こんなに寒いとは思わなかった」と言ってる方もいらっしゃいました。僕は冬仕様の防寒対策をしていたので、寒くて寝れないということはありませんでした。ただ、僕が持ち込んだシュラフは#2でしたが、#3でも充分に対応できたと思います。

その後は徐々に暖かくなり、最後は「短パンを履き、シュラフを掛けるだけ」というスタイルになりました。この時期は気温の差が激しいですね。山頂付近に泊まれば寒いし、標高が下がれば暖かいという感じです。

もし次の機会があったら、シュラフは#5にして軽量化し、薄手のダウンジャケットとダウンパンツを持って行くという形になるだろうと思いました。

 

ダウンパンツとモンベルのシュラフ#2

 

ロングトレイルの食料はモンベルと無印良品で調達

5泊6日分の食料


たまたま無印良品の「良品週間」だったので、今回の食料はいつもよりも贅沢になりました。

メインにしたのはレトルト食品やお菓子です。

さすがに高いだけあって満足感も高く、今回は食べ物で不満を感じることはありませんでした。

 

行動食ランキング

無印良品の行動食

 

1位 『チーズケーキ』 4.5点 レモン風味のしっとりバウムという感じ。

2位 『バターバウム』 4点 鉄板バター。

3位 『レモンとポピーシードのスコーン』 3.5点 ほんのりレモン風味。

4位 『いちごバウム』 3点 イチゴ好きだけど、いまいち。パサパサする。

5位 『ポテトスティック』 塩 2点 塩辛すぎ。

6位 『さつまいもスコーン』 2点 パサパサしてる。複雑な味。

 

登山はカロリー消費が激しいので、1本で300kcal以上ある無印良品のバウム系が助かりました。景色の良いところで、これを食べる時間が楽しみでした。

 

夕食ランキング

無印良品とモンベルの夕食

 

1位 『ごろごろ野菜と豚ひき肉の大盛りカレー』 3.5点 本当にごろごろしていて食べ応えあり。味は普通にレトルトっぽい。

2位 『パクテー』 3.5点 肉のカタマリをテントで食べられる幸せ。

3位 『サーモンチーズ リゾッタ』 3点 3分で食べられる。

4位 『山菜おこわ』 3点 塩気が良かった。

選外 『野菜ピラフ』 4泊になったので次回。

 

いつもの100円くらいのレトルトと違い、無印良品のレトルトは「食事が楽しめる」感じがありました。モンベルのフリーズドライは食事のバリエーションが増えます。

 

高島トレイルと比良比叡トレイルの違い

高島トレイルと比良比叡トレイルは、琵琶湖の西に沿って伸びるロングトレイルです。北に高島、南に比良比叡。歩こうと思えば、繋げて歩けることに初めて気づきました。

同じ地域にある、低山トレイルですので、似ているのではないかと思っていましたが、あまり似ていないと個人的には思いました。

それぞれを一言で表すと、高島トレイルは一人静かにブナ林を歩くトレイル。比良比叡トレイルは人が多く、眺望が良いトレイルとなります。

 

高島トレイルは、北から南に歩くと、前半はブナ林が多く、後半は杉林の際を歩くことが多くなります。眺望よりも、森の中を歩くほうが多いというイメージです。関西でブナ林をゆっくりと歩けると思わなかったので、この点でとても驚きました。

比良比叡トレイルよりも遠望になりますが、琵琶湖も眼下に眺めることができました。また、琵琶湖と同時に日本海側の若狭湾も見えるスポットもありました。

特に印象的だったのは、鳥の鳴き声が華やかだったこと。季節柄なんでしょうか。ずっと鳴き声を聞きながら歩くので、耳に心地よかったです。

 

登山客の数も違いました。

比良比叡トレイルを歩いたのは11月下旬の寒い時期。それでも、日本二百名山の武奈ヶ岳やリゾートのびわ湖バレイを通ることもあって、人は多かったです。

一方、高島トレイルはGWにも関わらず人が少なかったことに驚きました。前半の赤坂山くらいまでは泊まりや日帰りの方もいたのですが、3日目からはほぼ無人。3日目の夕方前、その日はじめて出会った日帰りの方はマイナールートを登ってきたらしく、「誰にも会わないし、テープも少ないし。まいった」と話していました。

ちょうどトレランの大会があったため、その選手の方々には1日に何度か抜かれていたのですが、それ以外は静かな登山となりました。

 

高島トレイルの持ち物とプランの立て方のまとめ

今回は、僕自身が行っているロングトレイルの持ち物やプランの立て方などについてまとめました。

 

『高島トレイル』はたまに雑誌等で見かけることがあるせいか、日本のロングトレイルのなかでも比較的知名度が高いのかなと思っています。

個人的には距離的に80kmという手応えのあるサイズ感が良いと思っていて、4泊程度の食料はぎりぎり持てる量ですし、GWなどの長期休暇中に歩ける日程が組めるということもあって、「いつかは歩いてみたい」と思っていたトレイルの一つでした。

 

アルプスの雄大な風景のなかを大勢の人と元気に登るのも楽しいですが、ひとり静かに野山を歩き続ける楽しさもまた捨てがたいと改めて感じます。

少し長めの休みが取れたら、チャレンジしてみるのはいかがでしょうか?

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

 

動画について

高島トレイル4泊5日の旅の映像を動画にしました。実は、初日に膝を痛めてしまい、楽しくも苦しい旅になってしまったのですが、その様子を収めています(少しヨロヨロしてるのはそのためです笑)。ぜひご覧ください!