前回の記事に引き続き、『信越トレイル』で撮ってきた写真を公開しています。
記事の後半には、簡単に今回の旅程とアクセスについてまとめました。
ハイカーの日記
朝起きて、袋ラーメンと魚肉ソーセージの朝食をとる。北アルプスのときの同じメニューなので、さすがに飽きてきた。朝はほとんどゆっくりする時間はない。テントを畳み、靴紐を締め直して歩き出す。
林道からブナの森に入ると、「ふかふか」の道になる。
トレイルはよく草刈りがなされていたが、夏のせいか日の当たる場所はオオバコで覆われていて踏み跡が見えなくなっていた。しかし、所々に信越トレイルのマークがあるので迷うことはない。
「今日も誰とも会いそうもないな」と感じるような道だ。そして、この先を曲がると熊がいそうな気配は常にあるのだから困ったものだ。「クマさんに、出会った~」と歌ったり、口笛を吹いたりしながら歩く。
昼間はハチの羽音がうるさかった。うだる暑さで、汗が顔を滴り落ちる。暑さをやわらげたくてゴクゴクと水を飲むけれど、さらに多くの汗が吹き出るだけだった。
午前中は晴れていても、14時を過ぎる頃になると霧に包まれた。夕方前にテントサイトに到着する頃にはヒグラシが鳴く。
『信越トレイルクラブ事務局』が管理するテントサイトの水は濾過か煮沸が必要なので注意したい。僕は浄水器を持参した。
光ヶ原キャンプ場には宿泊施設がある。ここでは、シャワーを利用できる(200円)。シャワーを浴びた後は、再び臭い服を着る……。でも、シャワーはものすごくさっぱりする。さっぱりするとやる気が出る。これは結構大事。
夕日に染まる湖とブナ林を眺めながら食べる牛丼(レトルト)は最高だった。一人の寂しさはあるけれど。
しかし、至福の時間は長くは続かない。大量の蚊(ブヨ?)が出てきて、小走りでテントに退却。寝っ転がって陽が沈むまで日記を書く。
ある日は「トレイルマジック」に遭遇した。
日本にもハイカーを支えてくれるトレイルエンジェルがいることに感激した。
『信越トレイル』を歩いて
一本のトレイルを5日間かけて歩いた。
朝起きて簡単な食事をとったら、テントを畳んでいつものように歩き出す。暑さで吹き出る汗をぬぐい、顔にまとわりつく虫を払いながら、目の前の道をひたすら歩く。夕日が傾いてくる時間にテントサイトに到着し、平な場所を見つけてテントを張る。日が暮れる前までは食事をとったり、日記を書いて自由に過ごす。
そのシンプルな長い時間のなかでほとんど人と出会わなかったことは、人見知りをする僕でも寂しさを感じるぐらいだったが、そのおかげで信越の優しい自然を感じる旅ができた。
その印象を一言で表すとするなら、信越トレイルは“里山のトレイル”。
現代の里山はどこに行っても杉の植林ばかりだけど、ここには「昔と変わらない自然」が残っているように感じた。
♪兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川…。
起点の斑尾山は、唱歌『ふるさと』に唄われたあの「かの山」だそうだ。
ブナが美しい春か秋に、また、ふるさとの山を歩いてみたい。
『信越トレイル』の旅程とアクセスについて
旅のプランは、信越トレイルクラブの事務局のサイトをじっくりと読んで立てた。歩く際のルールや通行止め等の情報、テントサイトや水場などの必要な情報が得られる。
車はチロル前登山口に停めた。帰りは森野宮駅から電車とバスを乗り継いで戻ってくる。登山口に車を停める場合は、必ず事前に事務局に連絡すること。
Day1 斑尾スキー場~赤池テントサイト
Day2 赤池テントサイト~桂池テントサイト
Day3 桂池テントサイト~光が原キャンプ場
Day4 光が原キャンプ場~野々池テントサイト
Day5 野々池テントサイト~天水山~森野宮駅
(2019年8月2~6日)
関連する記事
ロングトレイルを歩く際の「持ち物」についてはこちらが参考になります。
信越トレイルの「前編」はこちらです。