海外旅行をするように
旅をするのが好きだ。
でも、不満なのは旅が非日常であること。
旅が終われば、元通りの生活が待っている。
それならば、海外旅行をするように生活すればいいのではないかと考えた。
旅先で観たいものや経験したいことをリストアップし、旅程を立てる。飛行機とバスを乗り継いで村に到着したら、拠点となる安宿を探す。スーパーで食料を買い出して、目的の氷河のあるトレッキングルートを歩く。ある日は、現地ツアーに参加してペンギンを見たり、贅沢をしてステーキを食べてみる。
満足したら次の目的地へと移動する。転々と、街から街へと移動し、新しい体験をする。
海外を旅するときと同じことを、日本でやるのだ。
日本のアウトドアフィールドを旅する
日本には世界に誇れる素晴らしいアウトドアフィールドがある。
北海道ニセコの雪質や沖縄の海の透明度はあまりにも有名だ。山陰や四国の海、紀伊の源流や東北の豊かな森……。挙げればいくらでも最高のフィールドがあって、それは3000キロの細長い列島のなかに点在している。
その極上のフィールドの近くに移り住み、暮らしてみるのだ。
登山、カヤック、釣りと現地ツアーを楽しんだら、次の土地へと移動する。
旅をするように、好奇心のまま、転々として暮らす。
そんなふうに旅をするように暮らしたら、旅が非日常から日常へと変わるかもしれない。
もし、その途中で、安住の地が見つかれば言うことはない。
「住みたいところに全部住んだうえで、いまのところに住んでいる」と思えたら、それは幸せなことだと思った。
日本縦断の旅
「旅をするように暮らす」方法のイメージはできた。
では、最初に住むべき場所はどこなのか。
そこで、アウトドアフィールドを見て回る旅に出た。
幸い20代の頃から写真を撮るために日本各地を旅したことがあって、フィールドの印象は頭のなかにある。
そのなかでも、強く印象に残っていた地域を巡った。
お金を節約するために、車で寝泊まりしながら、急ぎ足で回る。
北海道から沖縄まで縦断した。
そして、旅を終える頃には、心のなかでは住みたい場所が絞られた。