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テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

Hyperlite Mountain Gear『3400 JUNCTION』をグレゴリーのザックと比較【レビュー】

Hyperlite Mountain Gear『3400 JUNCTION』とグレゴリーのザックを比較

 

Hyperlite Mountain Gearの『3400 JUNCTION』とグレゴリーのザック『トリコニ60』を比較しています。

テストでは3泊4日でトムラウシ山、1泊2日でニペソツ山に登ってきました。

実際に使ってみると、背負い心地や使い勝手にメリットとデメリットを感じました。わりとデメリットが多くありましたが、今はとても気に入っています。

それぞれのテント泊登山については趣向の違った動画を撮っていますので、ぜひご覧になってみて下さい。

 

Hyperlite Mountain Gearについて

Hyperlite Mountain Gearはアメリカ・メイン州のULギアブランドです。

特徴的なのは、バックパックに使われた素材です。軽くて頑丈でありながら、雨にも強い素材が使われているので、軽量化を目指す熱狂的なハイカーに支持されています。

 

バックパックにはいくつかのモデルがありますが、前面についた大型ポケットのデザインの違いによって区別できます。

全面にメッシュポケットを採用したWINDRIDER、ポケットの中身を保護するためにノーメッシュを採用したSOUTHWEST、そしてその両方の特徴を備えた汎用モデルのJUNCTIONなどです。(他にも種類があります)

生地のカラーは白と黒の2色展開。黒は厚手の生地を使用して強度が上がっている分だけ値段が高くなります。

 

Hyperlite Mountain Gear 3400 JUNCTIONを選んだ理由

Hyperlite Mountain Gear 『3400 JUNCTION』

 

ぼくはまずHyperlite Mountain Gearの見た目に惹かれました(笑)

やはり特徴である前面についた大型ポケットですよね。特にメッシュポケットを採用したWINDRIDERを山で見かけてからは、次はHMGにしようと心の中で決めていました。

HMGのバックパックにはいくつか種類があったのですが、結局は前面はメッシュ、サイドはノーメッシュのJUNCTIONを選びました。その理由は、サイドポケットにはテントのポールや三脚を入れる予定だったのでメッシュである必要はないかなと思ったからです。またメッシュだと笹やハイマツにひっかかりそうなことも気になりました。

 

Hyperlite Mountain Gear 3400 JUNCTIONをテント泊登山でテスト

今回は、北海道のテント泊山行で使用してきました。

3泊4日のトムラウシ山、そして、1泊2日でニペソツ山です。それぞれ動画にしているので、ぜひご覧ください。

ちなみに、ニペソツ山(標高2013m)は「幻の日本百名山」とも言われているそうです。

 

深田久弥日本百名山執筆後の1967年(昭和42年)8月に登頂しており、その著書『山頂の憩い「日本百名山」その後』で、「日本百名山を出した時、私はまだこの山を見ていなかった。ニペソツには申し訳なかったが、その中に入れなかった。実に立派な山であることを、登ってみて初めて知った。」と記しており、まぼろし日本百名山と言われている。その後、深田クラブにより日本二百名山に選定された。 -Wikipediaより

 

グレゴリーのザック『トリコニ60』との比較

容量はトリコニとほぼ同じ。

 

HMGの『3400 JUNCTION』と比較するのは、これまで使用してきたグレゴリーのトリコニ60です。

トリコニ60は、現行で販売されている人気銘柄バルトロ65に似ているオーソドックスなザックです。

「容量」と「背負い心地」、「使い勝手」について比較します。

 

容量

HMGの『3400 JUNCTION』の容量は、本体が55L、ポケットが9.8Lです。

3400 JUNCTIONとトリコニを並べてみると、見た感じでは大きさはほぼ同じ。

パッと見た感じでは、3400 JUNCTIONのほうがスリムに見えます。

そして、いつもトリコニ60に入れていた2~3泊分のテント泊の装備をすべて入れてみます。

結果は、ほぼ同じ感じで収納できました。メッシュのポケットも利用して同じ位という感じです。

 

背負い心地

重量はトリコニが2300gで、3400 JUNCTIONが980gです。

装備を入れた状態で背負ってみると「あ、軽い」と思いました。バックパック自体は約1.3kgの違いしかありませんが、体の感覚は意外と繊細なんですね。

 

グレゴリーとの大きく違うのは、背負ったときの重心が高いこと。重心が高くなると、体が傾いたときに荷物が振られやすくなりますが、不安はそれほど感じませんでした。

 

そんな感じで、初めて背負ったときはいい感じだなと思ったのですが、1日背負ってみると大きなデメリットがありました。

それは、肩が痛くなること。グレゴリーのように腰や背中の全体で背負う感じではないため、荷重が肩にかかりやすいようです。いつもは2~3日目に肩が痛くなるのですが、1日目に痛くなってしまいました。

 

グレゴリーはバックパックロールスロイスと言われるだけあって、背負い心地は抜群。ウェストベルトは腰を立体的に包み込むような感じでフィットするため快適です。

 

対して、HMGはペラペラのパット一枚で、HMGのロゴが付いたジッパーを見なかったら安物のバッグに見えなくもない(笑)

通常はショルダーベルトの上部にあるショルダースタビライザーストラップも省略されています。

そもそもUL(ウルトラライト=重量軽くする志向)向きのバックパックなので機能は色々と制限されてしまいます。

この問題を解決するには、荷物を削れってことですね。

 

軽くなりたい

 

使い勝手

はっきりいって、使いづらいです。

グレゴリーとHMGの違いを例えるなら、豪華寝台特急と貨物列車。グレゴリーは言うまでもなく豪華列車ですね。

使いやすいポケット類、開けやすいジッパー、ウェストベルトの快適な背負い心地、傾斜したボトルホルダー、2気室になる構造、デザインの良さ……、トリコニ60やバルトロ65の良い点はたくさん思いつきます。

 

対してHMGはただの袋。紙袋で裏側がラミネート?された厚手の袋があると思いますが、あんな感じです。素材がバリバリというのも似ています。

袋を開けてポンポンと荷物を放り込む分にはいいのですが、一旦荷物を詰め込むと奥にあった荷物が取れなくなります。しかも深さがあるから、手が届かない。ぼくの身長だと手を伸ばしてもバッグの底まで届かないのです。

 

実は、HMGを買った理由のひとつは、愛用しているデイパックが小さいサイズの2700にそっくりだったからです。マウンテンハードウェアのスクランブラー35というバッグなのですが、容量が35Lで生地が防水、メッシュのネットも付いているというそっくりさん。汚れを気にせずに、様々な用途に使えて便利なので気に入っているのです。

このバッグだと、底まで手が届くのですが、3400は容量が大きい分深くなるので無理でした。買う前から、使いづらいかもしれないとは思っていましたが予想通りでした。

 

今回は、テントを張るときに、上に入れていたものを全部外に出す必要がありました。晴れてたらいいんですけど、雨が降ってたり、風が強かったりしたらちょっと嫌だなと思います。

対策としては、荷物を入れる順番を変える、外のメッシュポケットに入れる、ストラップで外に付けるなどの工夫が必要です。

 

その他のメリットとデメリット

Y字ストラップは良いけどベストではない

 

Y字ストラップ

パックの上部に付いたストラップ。一本のストラップではなく、Y字になっているため荷物が落ちにくくなっています。でも、一度マットが落ちました。また、ここにモノをくっつけると、取り外さない限りメインコンパートメントにアクセスできません。

 

部品がちゃっちい

バックルがチープで、ベルト類もペラペラで細いです。サイドのコンプレッションベルトはバックルが省略されているので、使いづらいです。

 

防水性

大きな利点です。今回はテストできませんでしたが、すごく大事な点です。

 

ウェストベルトのポケットが大きい

お菓子と手袋を入れてました。小型のデジカメが入りそうです。

 

汚れが目立つ

ホワイトも汚れが目立ちますが、黒も土汚れが目立ちます。

 

ミニマリスト的だけど「雑な人」に見えなくもない

バックパックの買い替えに当たっては、HMGとバルトロ65のどちらにするか悩みました。

バルトロ65はバランスの良いザックで、見た目も好み。3400 JUNCTIONを買ったあとも、また背負いに行ってみて、「やっぱりこっちにすべきだったんじゃないか」と思ってしまうくらい好きなザックです。

ぼくは登山用途で使うので、どちらかというとグレゴリーが合っているんだと思います。登山では休憩時に上着やお菓子、日焼け止めクリームやレインウェア等を出し入れすることが多いです。ポケットやジッパーが沢山あればモノが整理しやすくなります。

 

一方、HMGは飾り気のないただの袋。しかしシンプルながらも、軽量かつ強靭、防水性も備えた生地を使っているので、登山以外にもパックラフトやスキーなどにもそのまま使えてしまう汎用性があります。

ひとつのモノにいくつかの用途で用いるという考え方は、ミニマリスト的です。だから、HMGには潔さを感じるのかもしれません。

ただ、ミニマリストの暮らしというのは不便なものです(笑)

自称ミニマリストのぼくからすると、シンプルでカッコいいけど「やっぱ面倒だな」と思ってしまう面もやっぱりあります。

 

ミニマリストっぽいけど、そうでもない

 

このバックパックを背負っている人を何度か見かけましたが、メッシュポケットがゴチャゴチャしている人が多いなと思っていました。実際に、使用してみるとそのわけがわかりました。メインコンパートメントを開けるのが面倒なのです。だから、一度中から出したものはポケットにポイポイと入れることになってしまうため、ごちゃごちゃしてしまうのです。見た目、ミニマリスト的なバッグなのに、「雑な人に見えなくもない」のが面白いですね。

 

まとめ

でも、買って良かったと思っています。

特に軽さとデザインがとても気に入りました。

万人受けするバックパックではないかもしれないけど、ぼくは永く使うだろうなという気がしています。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

 

動画について

HMGの比較動画

Hyperlite Mountain Gear 『3400 JUNCTION』とグレゴリーの『トリコニ60』を比較しています。『トリコニ60』は『バルトロ65』に似たザックです。

北海道のニペソツ山でテント泊してきました。

 

 

3泊4日トムラウシ山の旅(HMG使用)

また、先日投稿した3泊4日トムラウシ山行の動画では、ザックを背負っているシーンを数多く収めています。

こちらは美しい風景のなかを旅する静かなハイキング映像です。