アウトドア仕様の車中泊車を自作しました。製作期間は3か月で、費用は約35,000円です。
特徴は、棚を分割式にしたこと。棚は車体に固定していないので、5分で積み下ろしができます。「車に運んで、置くだけ」というシンプルな構造です。
DIYには満足していて、特に広いテーブルで食事ができるのが気に入っています。車中に散乱していたモノも片付くようになりました。また、床が平になったので、腰が痛くなることもなくなりました。
最後に3か月間の製作を収めた動画も紹介しています。ぜひご覧ください。
車中泊車のコンセプト
車中泊車といえば、様々なカタチがある。
定番のバンタイプやRV車、近頃は最近は軽トラに小さな家が乗っかっているのもよく見かける。
車のDIY雑誌を眺めていると、その多様さに驚かされる。僕の価値観からは決して生まれることのない車ばかりだ。各オーナーさんの趣向が凝らされた車を見ていると、「いろんな世界があるんだなぁ」とまるで知らない世界の暮らしぶりをのぞき見たときのような感想が生まれてくる。
どうせ車中泊車を作るのなら、僕も自分の世界を表現したような車が作りたい。
自分のなかには大層な世界もそれを再現する腕もないのだが、せっかくなら自分の暮らしに合った車を作りたいものだと思うのだった。
「どんな車中泊車にしたいのか」と考えて頭に浮かんだのは2つあった。
アウトドア特化
ひとつは日頃の車中泊の不満を解消すること。
まず炊事ができるテーブルと汚れものの置き場を確保したい。
そして、雨が降ったときに逃げ込めるような基地みたいな車が理想だ。
5分で積み下ろしできる棚
もうひとつは、軽キャンのように大げさなものではなく、簡素な棚を作ろうということだった。
僕が乗っているサンバーの最大の魅力は優れた積載能力にある。自転車を載せたり、木材を載せたり、引越の荷物を運んだり……。この車には助けられてきた。
だから、完全に作り込んでしまうようなDIYを行って、最大のメリットをなくしてしまうのは避けたいと思った。
そこで思い浮かんだのが、「棚も床下収納も、荷室に置くだけ。見た目は一体型だが実は分割型で5分で積み下ろしできる棚を作る。」というコンセプトだった。
(製作途中で棚の構造を変えて作り直した理由はここにある)
そして、出来上がったのがこんな車だった。
車中泊車各パートの紹介
前棚兼テーブル
緑色のコンテナを収納する棚。コンテナの中には車中泊に必要な調理道具やライトなどが入っている。前棚の背面には長靴が収納できる。
この棚はテーブルを兼ねている。出先でコンビニ弁当を食べるときは運転席だったので、いつも人目が気になっていた。そこで、リラックスできるような広いスペースが欲しいと思っていた。
せっかくなのでテーブルはサイドウィンドウ際に設置し、美しい自然が見えるようにデザインした。僕の座高に合わせて、32cmの高さにしている。
しかし、現実はうまくいかないものだ。実際に使用してみると、全く落ち着けないテーブルだったのだ。
完成したばかりの車でコンビニの駐車場に出かけ、いそいそと荷室に移動し、「ランチタイム!」とウキウキしながら弁当の蓋を開けようとしたら「ん?」と手が止まった。というのも、窓の外を見たら、ひとつ向こうの車の人がジッとこっちを見ていたからだ。怪訝そうにして、目を離さない。どうやら、見えているらしい。サイドウィンドウの真正面に座って外を見ているおっさんが……
後棚
カヤックやバックパックなどの大型の道具や汚れモノを収納する棚。
合板を貼ったことで荷物が適度に滑ってくれて使いやすい。一方、合板は雨に弱いのが気になる。これから使ってみて、また報告したい。
防水シートみたいなものを貼ろうと思っていたが、トレーを買ってみた。トレーだとサイドが立ち上がっているので水が漏れない。また、軽くて簡単に取り外しできるのもよい。
上棚
畳んだ服を収納できるような形にした。「ちょっとモノ置き」にも便利。
こんなに奥行きは必要ない。
床下収納
パドルや釣り竿などを収納。キャンプチェアも入るので便利だった。床がフラットになったので、非常に寝やすくなった。気になるのは、硬くて冷たいこと。また、モノを置いて走るとカタカタと跳ねてしまって、音がうるさい。常時、シュラフマットを敷く必要がある。
ハンガーラック
ただのモノをかける棒になってしまった。ここがデザイン的に一番重要だったのだが、積み下ろしを優先したために諦めざるを得なかった。
その他
プラダンの目隠しは色はいいが使いにくいことが判明した。汚れるし、折れやすいし、はめにくい。使いやすいのはキャンプ用マットのほうだ。
すき間収納には目隠しシェードが収納できて便利。(写真には写っていない)
製作期間は約3か月間
製作期間は3か月間くらい。作業にかかった時間を日数に換算したら、休日30日分くらいになるかと思う。
結局、冬の間を費やしてしまったのは残念だった。
冬前にスタッドレスタイヤや登山靴を買ったからだ。
DIYをしながら、「早く終わらせて、雪山に行かないと」と焦るばかり。途中で行けばいいのに、自分は息抜きができない人間。
完成が見えたところで山に出かけると、すでに雪は溶け始めていた……(泣)
車中泊DIYのコスト
3万円くらいで抑えたいと思っていたから、満足している。
木材の値段はそれほどでもないが、作業が進んで、仕上げに使う合板やフローリング材、金具などが必要になってくると値段が高くなり、内心やばいなと思ってお金のことを考えずにやってきた。旅館3泊分でDIY出来るなら、すぐに元が取れる。もっと早くやればよかった。
本当にもったいなかったのが、かご2つに収まらないほどの材料をムダにしてしまったことだ。合板の厚みを変更したり、棚の構造を変更したり、失敗したり……。これだけで2~3000円損したと思う。
ちょっと高い薪になってもらって、全身が煤まみれになるまで焚火が楽しめたのは良かった。
失敗したこと
一番大きな失敗は、ハンガーラックの棒の高さを測り間違えたこと。
ハンガーにかけるジャケットを平置きした長さは測ったけど、肝心なハンガーに掛けたときの長さを測るのを忘れたのだ。ハンガーラックの高さが足りなくなってしまったので、解決策として、収納棚の角の材料をとっぱらって高さを確保した。本来は後棚の上に、ハンガーラックの底があるはずだった。でも、底がなくなってしまったので、濡れたジャケットを掛けると下に置いたザックも濡れてしまうという構造になってしまった。
自分で作ると愛着が出る
車の電動ウィンドウはほぼ動かない。サイドドアはノブが壊れかけていて開け辛い。後部ドアはゆるくてうまく閉まらない。車体には無数の傷と塗装はがれ、茶色いさびと緑色のコケ。内部のほうも車検に通るのがやっとらしいボロボロなサンバー。
新車で購入して16年目になって、人生初の車中泊DIYをやってみた。
欲を言えば、大型機械のある工房を借りたかったとか、使いたい材料を使いたかったとか、制限なくDIYできたらどうなっていただろうという想いもある。
でも、今回のDIYには満足していて、もっと早くやっていたらと思ったし、面白かったし、勉強にもなった。
例えば、ずっと、車内の床のデコボコをどうにかしたいと思っていたけど、床をフラットにするのは意外と簡単だった。車内に渡す棒を固定する方法が見つからなかったけど、隅々まで車を眺めていたら解決策が見つかった。
やっぱり、考えてばかりじゃだめなのだ。僕は性格上どうしてもそうなっちゃうのだけど、動いてみないと解決法が見えてこないことってある。
人生のなかで「キャンピングカーを買った」というのも、「自分で作ってみた」というのも、どちらもいいのだけれど、やっぱりDIYは楽しいし、悩みながら作りあげた車には愛着が出る。
「家は3回建てないと満足するものが建たない」と言うし、僕の中では次回の車中泊DIYの機会はきっとあるだろうなと思っている。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
DIYの動画について
DIYをまとめた総集編の動画を作りました。
3か月間の奮闘の様子をぜひご覧ください!