天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

関西のアウトドアは金剛山から|郵便道迂回路「不動道ルート」【日本二百名山】

金剛山とロングトレイル

関西に引っ越してきて、周辺の地図を眺めていて気付いたことのひとつは「大阪の周辺には、手頃なロングトレイルがある」ことだった。

 

そのロングトレイルのうちに、『ダイヤモンドトレール』と呼ばれる縦走路がある。大阪から和歌山にかけて、金剛・葛城山系の稜線を歩く約45キロの縦走路だ。

 

2019年のアウトドアは、その偵察をするためにルート上にある『金剛山』に登ることにした。実際にダイヤモンドトレールを歩くときのために、山の感じや気温などを知っておきたいと思った。

しかし、本番と同じトレイルを歩いてしまうともったいないので、金剛山には違うルートで登る。奈良県側の登山口である高天彦神社には無料で車が停められる駐車場があるので、そこからピストンで往復することにした。金剛山は大阪最高峰とのことだから、展望も期待できる。

 

 

金剛山(こんごうさん/標高1125m)は大阪府と奈良県にまたがる日本二百名山だ。

登山回数を記録するシステムがあるのは他の山にあまり見られない。今回は郵便道ルートが通れなかったので、迂回路である不動道ルートを歩いた。

 

 

2019年3月26日現在は、登山道の途中に崩落があったため郵便道ルートは歩けなかった。

これはネットの情報通りだった。

こうした情報は、家を出る前にちょっと調べればネットにちゃんとあげられてる。ほんとに便利な世の中だ。しかも、ほぼ同じ写真をどこのサイトでも見られて、現地でもちゃんと同じものがあった。

 

金剛山郵便道迂回路地図


一方で複雑な気持ちもある。

もし郵便道が通れないことを事前に知らなかったら、ハプニングとして思い出に残ったことだろうとも思うから。

最近は、「知っていること」は本当に良いことなのか、と疑問に思うことが多い。

 

地元の街の桜はまだつぼみのようだが、麓の登山口の桜は3分咲きぐらいの陽気だった。

駐車場に車を停めて準備する間は薄手のダウンを着るぐらいで、「やっぱ街よりも山のほうが寒いな」と感じる。

でも、登り始めるとすぐに暑くなった。

 

金剛山の地図を見ると、ルートが蜘蛛の巣状に張り巡らされている。

京阪神は古くから文化の中心地で、各山村集落が発達していたので、山中にはそれらを結ぶ峠道が多い。古くから生活の山、信仰の山としての道が確立されていたそうだ。

 

金剛山もまた昔から親しまれている山であるということだろう。いまだに関西に溶け込めていないので、関西でメジャーな山がわからないけれど、想像するに、大阪の人から見た金剛山というのは、東京でいう高尾山ぐらいの知名度だろうか?

 

金剛山登山道


郵便道はその名の通り、終戦まではこの道を通って山頂まで郵便物を運んでいた。

郵便道を迂回して歩くことになった不動道ルートはそのなかでもマイナーだと思われるルートだが、しっかりと整備がされていた。

こういう道を誰かが作ってくれていると思うと、本当にありがたい。

 

金剛山郵便道


登山道のほとんどが杉林の中を通った。スギ林には人の手がちゃんと入った美林だ。山は空気も綺麗だし、「気持ちがいいな~」と深呼吸を繰り返す。

しかし、登り始めて30分もしたら、くしゃみと鼻水が止まらなくなった。さっき、風が吹いたときに、ぶわーともやがかかって霧か~と思ったが、あれはひょっとして花粉だったのだろうか。

 

甘かった……。

 

一の鳥居を抜け、葛城神社のベンチで休憩したのちに、転法輪寺へ向かう。

ベンチに置いたバッグを手に持ったら、バッグの底が真っ黄色になっている!ベンチの端っこにコケが付いていたのでコケかと思った。でも、手でパパッと払ったら簡単に落ちていく。もう一度、ベンチの上をよく見てみると、自分が座った跡がついていて、周りにはうっすら黄色いものが堆積しているじゃないか……。うわっ、やっぱり花粉か~。

 

金剛山の頂上


登山口に車は数台止まっていたが、登りはひとりとすれ違い、帰りはひとりも出会わなかった。

しかし、国見城跡の展望広場付近は月曜だったにも関わらず人がいた。それでも、設置されたベンチが埋まってしまうような人出ではなく、寂しくない程度でちょうど良い具合だった。トイレは暖房付で、同時に入ったおじさんも「オゥ」とびっくりしていたが、お店や遊具などもあって、登山初心者でもホッとできるスペースになっている。

 

頂上は冷たい風が吹き抜けて、薄手のダウンを羽織るぐらいの寒さだった。温度計は8度を示していたと思う。地元の人は、「先日は1度だった」と言っていた。

澄んだ空気の向こうに、大阪平野が見渡せた。ビル群も遠くに見えたが、あれは難波のあたりだろうか。難波とか梅田とかも、最近馴染みが出てきた言葉だ。大阪湾沿いには丸い石油タンクも見えた。

 

花粉との戦い

金剛山の杉林


低山ではあったけど、久しぶりの登山だったのと荷物が重かったせいで、かなり消耗してしまった。ふとももがかなり痛んでいて、足はガクガクになった。

 

帰りは、鼻にティッシュを詰めて歩く。それで少しはマシになったが、家に帰って緊張がゆるんでからは、寝るまでくしゃみと鼻水で散々だった。

(2019年3月26日)