滝雲の名所「枝折峠」
巻機山を下山したあとは、魚沼の街に立ち寄った。これから数日間は内陸に入るが、地図を見たところ、大きな街はなさそうだった。食料とガソリンを満タンにして、枝折峠(しおりとうげ)に向けて移動した。
ところが、ナビを読み間違って奥只見シルバーラインに入ってしまい、真っ暗でいまにも壊れてきそうなトンネルを何本も通ることになってしまう。途中で道に間違っていることに気づいたが、時すでに遅し。トンネル内でUターンはできない。仕方なくトンネルが途切れる奥只見丸山スキー場まで進み、ナビでもう一度行先を再確認し、長い、長いトンネルを引き返す。
トンネルを抜け、樹海ラインに入るとクネクネとした山道になる。夜中の山道なのにたまに車とすれ違う。しかも、県外ナンバーが多いことに気付いた。峠が近づくにつれ、路駐する車も増える。日曜の夜なのに、こんなに登山客がいるわけがないと思うのだが……。路駐はいたが、駐車場が空いていてホッとした。
気になるので、人が多い理由を調べてみた。
すると、枝折峠は流れる雲の名所だとのこと。その流れる雲のことを「滝雲」といって、盆地に溜まった雲が山肌に沿って上から下へと流れているそうだ。特に、秋は気温の関係で雲海が良く見えるらしい。
「それで途中に三脚を立てたカメラマンがいたのか」と合点がいった。
車内で弁当を食べたのち、私も外に出てみることにした。
月が明るく、ススキの穂を照らしている。ヘッドライトなしで歩道を歩いた。
コンデジでも写ってくれた。
駐車場には車が満杯だが、付近には人はいなかった。カメラマンは撮影に適した場所に向かって歩いているのかもしれない。(翌朝、登山道に入ったら、撮影している人も見かけた)
雲海を見るには
雲海は以下のような状況で発生することが多いらしい。
雲海の発生条件
- 盆地
- 前日に雨が降る
- 風がない
- 朝晩が冷え込む
魚沼市では、滝雲の見られる場所を公表しているようだ。
紅葉の越後駒ケ岳
早朝、駐車場でトイレをすませて出発する。
ヘッドライトをつけて一人で山を登るのは、今回がはじめてかもしれない。
今日は「上州登山」の旅で5座目となる越後駒ケ岳だ。
越後駒ヶ岳(えちごこまがたけ・標高2003m)は、新潟県にある百名山だ。
今回は、枝折峠からピストンで往復するルートを歩いた。
月曜だというのに人が多い。いつものように、どんどん抜かされた。
小倉山の向こうに前駒が見えた。その奥に越後駒ケ岳があるはず。堂々とした佇まいに圧倒される。
登山道は、樹林帯と尾根が連続した。
頂上は狭いがご飯は食べられる。休憩できるポイントはいくつかあるが、広いところはない。小屋の前が一番広かった。
霧のなかに一瞬頂上が見えた。
今日は1日晴れていた(最近は雨ばかりだったので、今日は降らなかったという意味で)。10月だが、登り始めると気温も上がり、半袖でも歩ける陽気になった。肌がかなり焼けた。
紅葉の時期には若干遅かったかもしれない。でも、自分的には良い風景が見られて満足した。
登山道脇の小さなスペースで一休みする。
登山していると雄大な風景が次々に出てくるし、疲れているので、このような小さな風景を通り過ぎてしまうことが多い。
でも、私はこんな風景が好きだ。別に頂上まで歩かなくても、こういうところでのんびりするだけでも満足できる。でも、いざ登山を開始すると「頂上を落としてやるぞ」という気持ちになってしまうのだが。
膝痛対策
下山時の膝痛に悩まされているので、色々と試している。
今日は、トレッキングポールに頼らずに歩くことにした。特に下りでは極力ポールを使わずに降りる。これまではポールに体重を預けて、着地の衝撃を避けるようにしていたが、それをやめてみる。意識してふとももの筋肉を使ってゆっくり着地する方法を試す。
セオリーとは逆かもしれないが、逆にこちらのほうが結果は良かった。ふくらはぎに若干張りを感じるものの、降りるまで膝が痛むことはなかった。
越後駒ケ岳を登って
登り終わってからは、しばらくゆっくりすることにした。
いつもならすぐに次の目的地へと出発するけど、明日は休みを入れるつもりでいる。2日登って1日休むぐらいが丁度よいだろう。
車の後ろに椅子を出して、今日の登山を振り返りながら日記を書くなどした。焦らない時間は贅沢だ。こんな生活がずっと続いたらいいのに……
17時に親子連れが下りてきてからは、駐車場には誰もいなくなり独りになって寂しくなった。昨夜はあんなに車が停まっていたけど、今夜は天気が悪くなるからだろうか。
(2017年10月9日)