毎日幸せになるために
若い頃は、時間が有限であることが全く実感できなかった。
でもいまは、「もう残り時間はそんなにないな」と思うことがある。
なぜなら、体の衰えを感じるから。
ともに生きるパートナーたちが歳をとっていく様子を目にするせいもあるかもしれない。寂しいことだが、近いうちに、思い通りに体を動かすことができなくなるときが確実にやってくる。時間は有限なのだと身にしみて感じているのだ。
体が動くうちに、やりたいことはやっておきたい。
40代も半ばになったいま、ぼくはそういう想いでいる。
だから、「没頭するほど好きなこと」は何だろうか?
数年前からそんな問いかけを自分自身にしてきた。
毎日「没頭するほど好きなこと」をすれば、幸せになれると思うからだ。
没頭するほど好きなのだから、普通に好きなことではない。
寝食を忘れ、周りが見えなくなるほど好きなことだ。
例えば、朝から晩まで野球のことを考えていた少年の頃のように、周りから見たら呆れられるぐらいのこと。毎日クタクタになって、夕食を食べながら眠ってしまうぐらい熱中できること。でも、本人は楽しくて仕方が無いぐらい好きなこと。
これまでの人生で没頭したことを思い返してみた。
いくつか思い浮かぶ中で、今もやりたいのは「旅行」「アウトドア」「木工」「家庭菜園」「ゲーム」の5つだった。
その中で、「“毎日”幸せになりたい」という条件から外れるもの、つまり休日にしか行えない「旅行」と「アウトドア」は脱落した。
毎日行えるのは「木工」「家庭菜園」「ゲーム」の3つとなったが、「木工」と「家庭菜園」いまの住環境では無理だ。「木工」は機械の音が凄いし、「家庭菜園」は近くに借りられる畑がない。
残るは「ゲーム」になった。
「ゲーム」は、お金がかからないし、時間さえあればできるから、いますぐ始められる。
それで、ぼくは毎日幸せになるために、「ゲーム」を再開してみた。
ゲームをはじめる
ぼくはゲーマーではないから、プレステのようなゲーム専用機は持っていない。
なので、PCでできる『ガンダムオンライン』をやりはじめた。
『ガンダムオンライン』は、アニメの『ガンダム』に出てくるザクやジムなどに乗って戦闘を行うゲームだ。
基本無料でプレイでき、少しのお金を課金すれば、レアな機体に乗ることができる。
自分はお金をかけたくないから、無料でプレイする無課金プレイヤーだ。
無課金でも、連邦ならガンダムやジーライン、ジオンならシャア専用ゲルググやイフリート・ナハトなんかにも乗れて充分楽しめる。無課金ながら、課金している人が操縦している百式やケンプファーをやっつけるのが爽快だ。
実は、『ガンダムオンライン』をやるのは初めてではない。
3年ぐらい前にトコトンやって、飽きて、やめた。
でも、ゲームをダウンロードすると、すぐにはまり込んだ。
ブログの「旅暮らし」と「海外アウトドア旅」の流れがプツリと切れ、すべての生活がストップした。
毎日が、仕事とゲームだけになった。
仕事から帰ったら、すぐにPCを立ち上げてゲームをはじめる。
食事の時間も惜しくなって、夜はゲームをしながらポテトチップスを食べるようになった。
夜型が進行し、睡眠時間がみるみる減った。
朝起きたときから体が重く、仕事中も頭が働かなくなった。
今日は早く寝ないとマズいと思っても、あと1時間、あと1戦と、ギリギリまでやってしまう。
まさに、寝食を忘れて没頭した。
そして、3週間後に、PCのスペックが追い付かなくなって、レベルが上がらなくなったところでやめた。
ゲームに没頭して幸せだったのか?
望むように、やりたいことに没頭した毎日を送った。
それでぼくは幸せになれたかというと、そうではなかったように思う。
没頭して楽しかったけど、頭のどこかが常に冷静だった。
それは、ほかにもっとやるべきことがあるのではないか、という想いが頭の片隅から離れなかったから。
そして、またはじめに戻った。
いま、何に没頭すべきなのかと。