天幕ほしぞら

テントに泊まる登山とロングトレイルの旅

大台ケ原は「紅葉」と「星空」の絶景スポットだった

大台ケ原のシオカラ谷

 

先週は紅葉を見たくて、三重県の大杉谷を歩いてきました。

大杉谷は、あるハイカーが絶賛していたルート。それを紅葉の時期にぶつけたわけですが、残念ながら、色づいていた葉はごく一部でした。

 

今週はそのリベンジで、標高を上げてみることにしました。

先に書いた大杉谷というのは、清流で知られる宮川の最上流部の渓谷なのですが、その宮川の源は大台ケ原という山になります。今回は、その大台ケ原に登って、紅葉を見ようというわけです。

大杉谷の標高約600m程度に対して、大台ケ原ビジターセンター付近で約1500m。

同じ地域で標高を変えると、紅葉は見られるのでしょうか。

 

 

大台ケ原に紅葉を求めて

昨晩駐車場に到着したときは、濃い霧で視界が効かない状態でした。寒々しい駐車場には、数台の車が停まるのみ。「明日はヤバいな」と思いつつ就寝。

しかし、朝9時に目覚めると人の声が。駐車場は8割方が埋まっていました。霧が出て遠景は見えないけど、駐車場の付近のモミジは赤く色づいています。

やはり、標高を上げてきたのが良かったみたいです。

 

大台ケ原の登山道

大台ケ原の紅葉

 

大台ケ原の遊歩道はよく整備されています。

登山口からすぐ森がはじまり、トウヒやウラジロモミなどの針葉樹とブナやミズナラなどの広葉樹とが混生する森を抜けていきます。

 

霧の正木峠

霧の大台ケ原展望台

 

日出ヶ岳付近に来ると、霧に包まれてしまいました。

何も見えないとわかっていても、とにかく展望台から景色を眺める人をパチリ。

その気持ちわかります、数分前の僕もそうしていたから。

晴れていると、展望台からは熊野灘が見えるはずなのです。

 

大台ケ原の木道

大台ケ原の紅葉

大蛇嵓と登山客

 

午後になると、霧が晴れ、青空が見えるようになりました。ホント、天気ってわかりませんね。

目玉の大蛇嵓では、山々の葉はくすんで見えました。紅葉も終わりかけでしょうか。

 

大蛇嵓からはシオカラ谷へ向かいます。シオカラ谷へ下りると、駐車場に戻る際には長い登りがあるために、多くの人は尾鷲辻方面に戻るようです。

ここからは人が減り、静かな登山になりました。

 

大台ケ原の登山道

葉を落としたブナ

大台ケ原のシオカラ吊橋

大台ケ原の紅葉

大台ケ原の紅葉

大台ケ原の倒木と紅葉

 

 

谷に下りて、標高が低くなると紅葉する木々が増えました。

「狙ったところで紅葉を見る」というのは意外と難しいんですね。

 

「天の川」が見られる星空スポット

駐車場に戻ったあとは軽く夕食をとり、それから仮眠しました。

夜中の11時に起床。夜食をとり、12時に車外に出ます。

見上げると雲のなかに星が見えました。車の周りからは人の声が聞こえます。みな星を見上げているようでした。

 

大台ケ原は天の川の撮影ができる星空スポットだそうです。そのことを、今回初めて知りました。そういえば新緑ときに星が綺麗だったなと思いだし、今回は初めて星空撮影をしてみることにしたのです。

これまでにも星を撮ることはあったけど、ちゃんと星を撮るために行動したことはありません。防寒着を着込み、真夜中の登山を開始しました。

 

真夜中なので、当然真っ暗闇の山道を歩かなければいけません。若い頃はこんなに恐ろしいことは出来なかったのに、最近はこういうことが怖くなくなってきました。歳をとって感覚が鈍ってしまったのでしょうか。

ときどきヘッドライトの光が向こうからやってきます。星を見た人が下りてきているのです。こんなに星マニアがいるとは知りませんでした。

 

樹林帯を抜け尾根に出ると、何の障害物もない360度の空が広がりました。

でも、雲が出ていて、星がまばらにしか見えない……

せっかく登ってきたのだからと、少し移動して、正木峠付近で待機することにしました。

秋の深夜の山頂付近ということもあり、かなり寒いです。何重にも着込んできて良かったと思いました。それから、夜の山で独り、1時間ほど夜空を眺めて過ごしました。

結局、星はほとんど見えませんでした。

そして、撮れたのがこちら。

 

大台ケ原の星空

 

星空撮影もリベンジしないといけないみたいです……

 

memo

林道の途中では、小さいフクロウを見ました。「道の真ん中に動物がいる!」と思って減速したら、フクロウが霧の中に佇んていたのです。帰って調べてみると、コノハズクのようです。コノハズクは体長20cm程度で、日本で最も小さいフクロウだそう。頭には耳のような羽角があるのが特徴ですが、僕には「眼鏡をかけた教授」のように見えました。道の真ん中で微動だにせず、眩しそうにライトを見つめていたのが印象的でした。

そういえば、前回は同じ林道でモモンガが車の前を横切って飛んでいきました。大台ケ原は自然が深いので多くの動物が見られるのだろうと思います。

(10月26日)

 

関連する記事

今年の新緑の時期にも大台ケ原を歩きました 

「大杉谷」はこちら 

今週のお題「紅葉」

大杉谷 | あるハイカーが絶賛したルートを辿って

大杉谷

 

日本三大峡谷のひとつであり、日本の秘境百選にも選ばれている三重県の大杉谷を歩いてきました。

台風一過で増水していたので、大迫力でした。

 

 

イカー絶賛のルート

関西にいるうちに、大杉谷にはぜひ行っておきたいと思っていた。

というのも、今年のゴールデンウィークに僕は熊野古道を歩いたのだけれど、そこで出会ったハイカーに、大杉谷から大台ケ原のルートがとても良かったと聞いていたからだ。

 

大杉谷は、三重県多気大台町にある渓谷だ。

それは、日本有数の多雨地帯である大台ケ原を起源とする清流「宮川」の最上流部に位置する。

 

宮川といえば、伊勢神宮を流れる川なのでご存知の方も多いかもしれない。僕もはじめて伊勢神宮に行った際に、綺麗な川を見つけて「いい川だな」と思いながら、しばし休憩を取った思い出がある。

僕はそのときに宮川のことを知らなかったが、その水質が素晴らしいことは調査でも証明されている。

今年の7月に国土交通省が発表した「水質が最も良好な河川」の資料を見ると、北海道の尻別川、富山の黒部川、高知の仁淀川、熊本の川辺川などとともに三重の宮川がリストアップされているのだ。

 

話を戻すと、その宮川の最上流部が大杉谷ということだが、この渓谷もまたすごい。

大杉谷は新潟県清津峡、富山県黒部峡谷と並んで、日本三大峡谷のひとつに数えられているのである。そして、日本の秘境百選のひとつでもあるというから、期待は否応なしに膨れ上がるのだった。

 

大杉谷のクサリ場

大杉谷の吊り橋

大杉谷の増水した川

 

今回は、大杉谷登山口駐車場に車を停めてスタートした。すぐに、岩に打ち込まれたクサリを伝いながらの歩きになる。

昨日の雨で足元が濡れていて、岩がツルツルと滑りやすい。落ちたら、完全に終わってしまう高さなので慎重に歩きはじめる。

 

大杉谷の第一印象は、「大味な渓谷」。谷は大きく開き、川の岩が巨大で、水量も多い。

特に水量は、恐怖を感じるボリュームと速度だった。

恐らく、先日の台風の影響だろう。

途中で出会った地元のおじいさんたちと話をすると、「僕らも何度もきているけど、こんなに水が多いのを見るのは初めて」とのこと。

水は登山道の左右のいたるところから染み出し、流れ出し、川へと流れ込んでいた。

 

大杉谷のクサリ場

大杉谷

大杉谷

大杉谷の千尋滝

千尋

大杉谷

大杉谷のシシ淵

シシ淵は大迫力

大杉谷のシシ淵

大杉谷の木

 

紅葉の大杉谷

大杉谷の平等嵓

平等嵓

 

僕が出会ったハイカー絶賛のルートは、大杉谷から大台ケ原へと抜ける1泊2日のルートだった。

しかし、週末の天気が悪く、テント泊の情報も見つからなかったので今回は日帰り行となった。

平等嵓という絶壁を見て引き返す。すごい存在感だ。この先には日本の滝100選の七ツ釜滝や堂倉滝などもあるというから見どころは多そうだった。

 

ところで、僕が大杉谷を訪れたのは10月20日

実は、紅葉の絶好のタイミングを見計らって出掛けたのだが、色づいている葉はほぼゼロ……

出会ったおじいさんに紅葉の時期をしっかりと聞いてきたので、次回は大台ケ原までのルートを歩いてみたい。

(10月20日

「関西でカヤックデビュー」におすすめの川 和歌山県古座川

和歌山県南部の清流、古座川をカヤックで下ってきました。

 

 

古座川は初心者でもチャレンジしやすい川です。レンタルカヌーもありますし、カヤッカーの悩みどころであるカヌーの運搬もカヌータクシーが解決してくれます。

今回は一人のカヤック行を簡単に紹介したいと思います。

 

 

古座川をファルトボートで下る方法

10月の初めに、和歌山の古座川をカヤックで下ってきた。

夏から秋へ移り変わるこの季節は、暑すぎないし、水温も冷たくなる前の時期。当日は快晴で、絶好のカヤック日和になった。

 

フネはフジタカヌーの『アルピナ2-460』を持っていった。このファルトボートは2人艇だけど、シートをアレンジすると1人艇として使うこともできる。

 

僕はカヌーツアーにしか参加したことがなく、川を一人で下るのは初めての経験だった。

一人で下るときの問題点は、車の回送だ。

今回は、車を「一枚岩」に置いてスタートした。そして、ゴール地点の「ぼたん荘」にカヤックを放置し、コミュニティバスで車へ戻る計画を立てた。

 

 

古座川をカヤックで下るときの注意点

古座川は清流として知られている。

しかし、上流にダムがあるせいか、思ったよりも水質は良くなかった。

途中から古座川支流の小川が合流すると、川の色が明らかに変わった。小川にはダムがないので水質が良いのだ。

 

初心者は「瀬」がどれだけあるのかが気になるところ……

一応、前日に道路から川を眺めて、下る区間の様子をチェックした。すると、瀬は定期的にあり、川の流れも早く感じたので不安になった。

しかし、実際に漕ぎ出してみるとその不安は杞憂だった。マップ(※)の指示通りにコース取りすれば、危険を感じることはほとんどなく、気持ちよく越えることができた。

 

難しかったのは、鮎師が竿を出していたことだ。一応鮎師が遠くに見えたら停まって声をかけてみたが、竿をあげてくれる人がいなかったのが残念だった。

また、川を横切る竹の障害物があるのも避けなければならない。白い布がついている竹の間を通り抜けるのが古座川のルールだそうだ。

 

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カヤックデビューにもおすすめ

関西でカヤックデビューをするなら、古座川はおすすめだ。

古座観光協会では、初めての人向けにはインストラクター付きの「カヌー体験コース(有料)」を提供しているし、慣れてきたらレンタルカヌーをすることもできる。

カヤックの一番悩ましい問題はカヤックの運搬だけれど、カヌータクシーがあるので利用しやすい。

他にも、ウェブサイトには、川のマップやルール等が載っているなど至れり尽くせり。

 

もし、古座川へ行ってみようと思った人がいたら協会のHPを必ず参照したい。時期によってカヤックで下っていい区間が決められているからだ。

僕が期待し過ぎていただけで、古座川が美しい川なのは間違いない。初めての人にとっては、楽しいカヤック体験になると思う。

 

 

(※)川下り用のマップは古座観光協会のHPで閲覧できる。僕はこれをプリントアウトして利用した。

(10月6日)