天幕ほしぞら

登山、カヤックの初心者が極上のフィールドを旅して、暮らす。

「カバンひとつで暮らす」を1か月間試した

世界一周旅行で使ったバックパックさえあれば生活できるのか?

1か月間「カバンひとつ(ふたつ)で暮らす」実験をしてみた。

 

 

カバンひとつで暮らす生活を開始

2017年1月1日。「今年こそは、所有しているモノを最小限にする」と誓いを立て実験を開始。

朝の食事から困難はやってきた。

 

食事をするテーブルや椅子が無い。床に食べ物を置くのは嫌なので、台所のシンク横をテーブル代わりにした。食器もなかったが、調理した鍋から直接口に運べば問題なかった。鍋底がたき火の煤で焦げ付いていたり、鍋が持てないほど熱かったりしたので、シンクのステンレス台は役立った。

 

洗濯物は折り畳み式のバケツでジャブジャブと洗った。干すためのハンガーは1つしかないが、洗濯ロープの長さは部屋を横断するだけの長さがあるし、ピンチも持っていた。ジーンズ以外は、素材が化繊の服を揃えたので乾きは早かった。

 

ベッドや布団が無くても、寝袋とマットで充分寝られた。実際に、いま1年以上そのセットで賄えている。

 

バイトに持って行く弁当は、冷凍食品を温めるために電子レンジと皿を使うので、菓子パンをコンビニで買った。

 

袋を開けるときは、鼻毛切りハサミを使った。釣った魚のサイズを測るために持っていたメジャーで段ボールの梱包サイズを計ったりした。

 

工夫する生活は楽しい

これは最小限のモノを使いこなす生活だ、とぼくは興奮した。

いままでは、ちょっと必要になったらモノを買いに行き、それを何の疑いもなく使う生活を送ってきた。しかし、いまはあるべきだと思ったものがたとえ無かったとしても、工夫することが楽しい。それは、何の変化もない日常とは違う日々だ。

こんな楽しいことは、実験だけではもったいない。このまま一生これだけの道具だけで暮らしていくのもアリじゃないか。

 

そんなノンキなことを考えていられたのは、初日の日中までだった。夜がきて、電気とカーテンが使えないことに気づいたときには、バックパックだけでは過ごせないことがわかった。

 

カバンひとつで暮らせなかった3つの理由

 

1. 宿で使用するモノが必須だった

旅行中は、ほとんど宿に泊まる。宿に泊まる目的は、寝るだけではない。キッチンやランドリーなど、設備の快適さを求めて宿に泊まる。

この実験を始める前は、それらの文明の利器に頼らずに、カバンひとつで暮らすつもりだった。

しかし、最初の夜に電気とカーテンを使ってしまった。その後は、なし崩しだ……。

 

寒波が来たときに、エアコンをつけてしまった。ガスカートリッジを買う金がなくてガスコンロのスイッチをひねった。筋トレで細々と養ってきた筋肉を保つ牛乳と卵のために冷蔵庫が欲しかった。立ったままの食事が虚しくなって、椅子に座った。洗濯するときに、「水が、冷たい……」と思った。ハラハラと抜け落ちる髪の毛を吸い取る掃除機は無くてはならいモノだった。ネット環境がないとブログ更新ができなかった。

 

2. 旅先に送ってもらったモノを忘れていた

世界一周旅行は北米のアウトドア体験からはじまった。その頃はいつも着ているアウトドア服さえあればよかったが、ヨーロッパに渡ってからはオシャレな街を歩くための服が必要になった。その際に、日本から送ってもらったシャツやジーンズのことをすっかり忘れていた。

この1か月間にも、通勤着としてそのジーンズを履いた。

 

3. 数が足りないモノがあった

数が足りなくて困ったモノも追加した。

例えば、毎日、通勤着の洗濯をしていたので、干すときに使うハンガーやピンチなどだ。

部屋着は、予備のダウンジャケットなどアウトドア服を着た。しかし、アウトドア服は値が張るので消耗が気になった。毎日着ているユニクロのお世話になった。

 

カバンひとつだけでも暮らせる

そして、1か月が経った。

終わってみると、ルールを破ってしまったことを少しだけ後悔している。

でも、この1か月の実験は、ぼくにとって無駄だったのかというとそうではなかった。

 

ひとつは、宿の設備にあるようなエアコンや洗濯機などを除けば、カバンひとつと同じくらいのモノの量で暮らせることがわかったこと。つまり、ぼくに必要なモノは、「宿の設備」に「約200個のモノが詰まったバックパック」だ。

 

そして、もうひとつは、「そこに何を足せばいいのか」がわかったことだった。